紀元前6000年ごろから人々と共に歴史を歩んできたパン。日本へは紀元前200年ごろに小麦が伝来、その後空海により806年、蒸しパンが伝えられた。現在は材料も調理法も異なる、数えきれないほどのパンが存在する。ここではパンの名称、生まれた国、その特徴やエピソードなどを紹介する。(「イミダス2002年版」掲載)
ポン・デ・ケージョ
ブラジル。丸い小型のパン。キャッサバ芋のでんぷん(タピオカ)と粉チーズ、卵などに塩と水を加えてこね、発酵させずに小さくまるめて焼く。外はぱりぱり、中はもちっとジューシーで、チーズ味がきいている。ブラジルでは食事の前やコーヒーのお供に食べるおやつパンで、家庭でもいろいろなレシピで作られる。
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インジェラ
エチオピア。テフというあわの一種を粉にして水でとき、5日間ほど常温で発酵させた生地を鉄板や粘土製の焼き板に流し込み、クレープよりやや厚めに丸く片面だけを焼く。独特の酸味があり、手でちぎってワット(スパイスの効いた煮込み料理)をすくいながら食べる。エチオピア人の食事に欠かせない主婦の基本料理。
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エキメキ
トルコ。この名はトルコ語でパンそのものを意味する。ごまがたくさんかかり、ぷっくり膨らんだ中は空洞のポケットパンが一般的。小麦粉にイースト、塩、水などを加えて練り発酵させた生地を、薄くのばして高温で焼く。名物料理ドネルカバブをはさんだり、トマトの煮込み料理などおかずと一緒に食べる。
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ピタ
中近東。地中海東部、中近東で昔から作られている中が空洞のパン。かりっとした無発酵のものと発酵させた軟らかいものの両方がある。平らで丸く、半分に切ると袋状になる。この中に、肉や野菜のソテー、煮豆や揚げ団子、サラダなどをはさんで食べる。近年アメリカでピタサンドが流行して一般的になった。
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