経済グローバル化の中で、広域に流通させるため均質化され失われていった、野菜を見直す動きが出ている。気候風土に根ざし改良されてきた伝統野菜等のうち特色のあるものを取り上げる。(「イミダス2002年版」掲載。資料:良い食材を伝える会編「日本の地域食材’00」)
小松菜(こまつな)
東京都江戸川区ほか全域産。江戸時代に徳川綱吉が鷹狩で小松川村(現・江戸川区)を訪れ、献上された際に名づけられたといわれる。アブラナ科の越年草でカルシウムや鉄分、ビタミンA・Cを多く含む緑黄色野菜。東京では正月の雑煮によく使われる。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
御嶽(おんたけ)はくさい
長野県開田村(現・木曽町)、木祖村産。御嶽山のふもとに広がる畑で栽培されている。寒地の直播(じかまき)作型で、組織が緻密で引き締まり品質が高く、漬物・鍋物によく使われる。7月上旬~10月下旬出荷ができ、関西市場を中心に取引されている。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
野沢菜(のざわな)
長野県全域産。野沢温泉村の寺で、京都から持ち帰った天王寺かぶを栽培したのが始まりとされる。豪雪地帯で寒さが厳しかったため、かぶの根が大きくならず、葉だけが1mの長さにまで生長した。この葉を温泉で洗うと、温湯で虫が離れ、しんなりしてよく漬かる。野沢温泉の民宿に来るスキー客が全国に広めた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
黒埼茶豆(くろさきちゃまめ)
新潟県黒埼町(現・新潟市西区)産。山形県の「だだちゃ豆」がルーツといわれる。枝豆の一種で表皮が薄茶色で香りが高い。実が完熟しきらない八分実入りの時に収穫するため、糖含量・アミノ酸含量が高く、甘み・うまみに優れている。地域特産物として県内消費が中心。同系統の「新潟茶豆」も県内各地で栽培されている。
◆その他のミニ知識はこちら!【日本の伝統野菜・地域野菜】