食文化として根源的なところで日本との共通点も多いイタリア料理。有名でも本来の意味や伝来が意外に知られていない用語、ユニークな表現、代表的メニュー、調理法などを中心に、イタリア料理の基本を理解するためのミニキーワード集である。(「イミダス2003年版」掲載・改訂)
パスタの起源
古代ローマ時代の穀物を煮込んだ粥(かゆ)プルテスを起源とする説は、生パスタの詰め物をスープでゆでる古典的料理法から遡ったものか。乾燥パスタは中央アジア遊牧民の主食ナンがシチリア経由で南イタリアに伝わり変容したなど諸説あるが、マルコ・ポーロが持ち帰ったという中国起源説はほぼ否定されている。
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異端の食文化
パスタはギリシャ語で糊(のり)を意味するpasteに由来、一般の糊と区別したイタリア語pasta alimentari(食べられる糊、栄養のある糊)が本来の用語で、パン食中心の西欧では異端の食文化。中国伝来とされる日本の麺類も、さらに源流をたどるとアラブ遊牧民のナンに行き着く。パスタと日本の麺類は遠い親戚か。
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ポモドーロ
トマトのことで、「太陽と土の恵みのリンゴ」ともいわれる。原産地の南米から南欧に伝わり、ナポリを中心とする南イタリアでオリーブオイルと出合い、16世紀以降、同地方の乾燥パスタ味付けの代表格となった。その色素成分リコピンは人体に有害な活性酸素を除去し、オリーブオイルと混ざることで吸収が良くなる性質を持つ。
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パスタ・ダイエット
乾燥パスタの成分は炭水化物72%、たんぱく質13%、水分12%、脂質2.2%、食物繊維0.2%、その他0.6%の構成。炭水化物はエネルギーとして燃焼しやすく、これを主成分とするパスタはダイエット食材とみなされる。アメリカで南イタリア料理が食生活の改善に有効と推奨され、ブームを呼んだこともある。
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