しかし「新型コロナウイルス感染流行前と比べて、収入が大きく減っている」と「新型コロナウイルス感染流行前と比べて、収入が少し減っている」を合わせると約31%に達し、依然として学生アルバイトの収入は、全体としては減少傾向にあることが見てとれます。
また、「新型コロナウイルス感染症流行後、新たなバイト先を探しているが見つからない」が約8%、「アルバイトをやりたいが、まだ一度もできていない」が約27%に達しています。学生がアルバイトをしづらい状況は続いているのです。
コロナ災害が学生アルバイトに影響を与えたのは20年3月以降です。春学期(前期)の学費納入期限である4月までに減ったアルバイト収入は、約1カ月ぶんということになります。それに対して秋学期(後期)の学費納入期限までのアルバイトの減少は、上記のデータからも分かるように、少なくともその後約4カ月間は続いています。自らのアルバイト代で学費や生活費を賄っている学生にとって、この状況は重くのしかかることでしょう。
◆◆
第2の理由は、秋学期(後期)から対面授業を再開した学校が増えていることです。
春学期(前期)は多くの大学、短大、専門学校でオンライン授業が行われました。そのため、下宿先や寮で一人暮らしをしている学生の多くは実家へ戻りました。それによって家賃や日々の生活費、交通費などが節約でき、学生の経済的困難が抑制された面があったと予想されます。
しかし秋学期(後期)からは、例えば私の住んでいる東海圏、あるいは関西圏では多くの大学で対面授業が再開されています。大学から離れた場所に実家のある学生は、一人暮らしを開始することで家賃を始めさまざまな費用負担が増加しますから、アルバイトの減少はより深刻な影響を与えるでしょう。
20年秋学期(後期)の学費支払いや学生生活は、春学期(前期)よりも厳しくなりそうです。すでにそのことを強く予期させるDMが私に届いています。
大学生の親戚がいるFさん
〈今回のコロナで両親が職を失い、学費の支払いのことで本人が悩み、コロナ禍で地元に戻ることも出来ずに病んでしまい、退学届けを出したそうです。本人といろいろと話しましたが、もう駄目だとのこと。本人が両親のことを心配し、金銭的に悩んで退学届けを提出したそうです。このような地方から親元を離れた子たちが、学びの場を奪われないようにしたいです。〉
このように、私が最も恐れていたことが、現実に起きているのです。学生たちへの十分な支援がなされなければ、20年の秋学期(後期)以降に学業をあきらめて中退する学生が大量に出現する危険性があります。
10月12日、私は労働者福祉中央協議会(中央労福協)とともに、「コロナ禍での学費と奨学金への支援の要請に関する記者会見」を文部科学省記者クラブで行いました。その中では、大学・短大・専門学校の20年後期(秋学期)学費の「延納・分納・減額」と政府支援の実施、学生支援緊急給付金や大学等修学支援制度の支援対象枠の拡大、給付型奨学金の拡充、コロナ禍の学生への影響や政策効果の検証のために大学・短大・専門学校の中退者数の調査の実施、などを訴えています。
20年秋学期(後期)学費問題は深刻です。社会は若者からのSOSに耳を傾けるべきです。