1人乗りでボードの上に立って運転する時速15~30キロほどの二輪の電動マイクロモビリティのこと。地面を蹴って移動するキックボードにモーターとバッテリーを搭載している。電動キックスケーターとも言う。手元のハンドルでアクセルや速度調整、ブレーキを使い分けることができ、操作は簡単。自宅のコンセントで充電できる。
コロナ禍で通勤時などの「密」を避けたい需要が追い風となって利用者が急速に増えている。Luup(ループ)など数社が国や自治体と連携する形で、各都市の中心部や観光地で電動キックボードのシェアサービスを始め、貸し出し用の無人の専用駐輪場が各地で見られるようになった。利用者はスマートフォンのアプリからクレジットカードを登録すると利用できる。駐輪場で借りて、別の駐輪場で返す仕組みである。すでにLuupだけでも東京や大阪の1300カ所以上に駐輪場を設置し、車体は約5000台に上るという(2022年6月時点)。
現行法では、電動キックボードは「原動機付自転車」に分類される。運転にあたっては、運転免許証はもとより、ヘルメットの着用も義務となり、歩道での運転はできない。自賠責保険(共済)の契約や標識(ナンバープレート)の取り付けも求められる。ただし、産業競争力強化法に基づく特例措置により、行政に認められた地域では、シェアサービスに限ってヘルメット着用は任意とされている。
2022年4月、道路交通法が改正され、時速20キロ以下の電動キックボードを「特定小型原動機付自転車」という新しい分類に位置付けた。この改正によって、16歳以上は運転免許が不要となり、ヘルメット着用も任意で、時速6キロ以下であれば歩道も移動可能となる。ただし、時速20キロを超えるものは引き続き運転免許証が必要な「原動機付自転車」となり、ヘルメット着用の義務などが課せられる。施行されるのは2024年4月ごろの予定で、それまでは現行法が適用される。【追記:改正道路交通法の施行日は2023年7月1日となった】
2022年9月25日、シェアサービスの電動キックボードをヘルメットなしで運転していた男性が転倒して死亡する事故が東京・中央区で起きた。初の死亡事故であり、今後、安全をめぐる議論があらためて広がる可能性もある。