京都市の条例で制定された、利用されていない住宅(空き家)に課せられる税。2022年3月に市議会で条例案が可決し、2026年以降に課税開始を予定している。地方自治体が条例によって独自に課税する法定外税に必要とされる総務大臣の同意を2023年3月24日に得て、実施が可能になった。空き家への独自課税は全国で初めて。
人口が減少する中、全国で空き家が増加している。国土交通省の資料(2022年10月)によれば、この20年間でその数は1.9倍になっている。防災・防犯上の問題となるほか、衛生状況や景観の悪化につながるため、2015年5月には「空き家対策特別措置法」が全面施行された。これによって、倒壊などの危険がある家屋などを「特定空家」として、その持ち主に修繕や撤去などを命じることが可能となった。さらに2023年の同法改正で、放置しておけば「特定空家」となるおそれのある家屋について「管理不全空き家」に指定し、市区町村が指導、勧告し、それでも改善されない場合は固定資産税の軽減対象から外すことになった。
京都市では、上記の問題に加え、富裕層の別荘や投資目的の住宅購入などにより不動産価格が高騰し、若い世代が家を買いにくくなり、子育て世代の市外流出につながっている。そうした状況を改善するため、長期にわたって人が居住していない住宅に課税することで売却や賃貸を促すことが、空き家税の狙いである。
市では課税対象となる家屋を約1万5000戸、税収を9億5000万円と想定している。対象となるのは、市街化区域内の固定資産評価額が20万円以上(制度導入から5年間は100万円以上)の家屋で、歴史的な価値のある京町家や評価額が低い物件は対象外となる。文字通りの空き家の他、日常的な居住者のいない別宅や別荘も対象に含まれる。持ち主は固定資産税と空き家税の両方を納付しなければならない。