発熱、のどの痛み、結膜炎を主症状とする、急性ウイルス性感染症。アデノウイルスの飛沫または接触感染で発症する。日本ではプール授業での体の接触や、汚染された水、タオルなどを介した感染が多く見られたため、プール熱と呼ばれるようになった。罹患年齢は5歳以下が約6割を占め、1978年の学校保健法改正で、主症状が消えた後も2日間出席停止とする、第二種伝染病に入れられた。感染すると5~7日の潜伏期間を経て、38~39度の高熱が出る。そして頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎によるのどの痛み、結膜炎に伴う充血や眼の痛みが3~5日続く。治療は対症療法が中心だが、ほとんどは自然に治る。ただし基礎疾患のある人、乳幼児、老人などがアデノウイルスの亜種である7型に感染すると、重篤な症状を招くこともあるので注意が必要。予防策としては、感染者との密接な接触の回避、流行時のうがいと手洗い、プールでの水泳後のシャワーと眼洗いの励行などが推奨されている。通常は6月ごろから徐々に流行が始まり、7~8月にピークを迎えるが、近年は温水プールのあるスポーツジム、デイケアセンターなどの増加で、1年じゅう見られるようになった。
(2010.6)
【2024.2.2追記】厚生労働省によると、近年はタオルの共用が減ったことなどに伴い、プールの利用による集団感染報告は見られなくなってきたため、プール熱という名称は使われなくなりつつある。