消費量が多い、または多くなることが見込まれ、国民消費生活にとって重要だと位置付けられる野菜のこと。1966年制定の「野菜生産出荷安定法」によって定められており、キャベツ、ほうれんそう、レタス、ねぎ、たまねぎ、はくさい、きゅうり、なす、トマト、ピーマン、だいこん、にんじん、さといも、ばれいしょ(じゃがいも)の14品目を指す。2026年度から、この中にブロッコリーが加わると発表され、1974年に指定されたじゃがいも以来、約50年ぶりの新たな指定野菜として話題を呼んだ。その背景には、多くの野菜の供給量が横ばいあるいは減少している中、ブロッコリーは増加を続け、出荷量がほうれんそうと同規模になっていることがある。
野菜は天候による価格変動が起こりがちである。同法の制定当時、増加した都市住民に供給される野菜の価格高騰が社会問題になっていたことから、同法は指定野菜の安定供給を図ることを目的に、指定野菜の集団産地(野菜指定産地)を定めている。また同法に基づき、野菜指定産地の生産者は、対象とされる市場に指定野菜を出荷していることなどを条件に、野菜の販売価格が大幅に下落したときに補填を受けることができる。その財源は、指定野菜生産者が拠出した負担金に、国や都道府県の資金を合わせた基金である。
なお、ブロッコリーは従来、特定野菜(specified vegetables)に定められていた。特定野菜は指定野菜に準じる野菜として、2024年2月現在35品目がある。その内訳はアスパラガス、いちご、えだまめ、かぶ、かぼちゃ、カリフラワー、 かんしょ(さつまいも)、グリーンピース、ごぼう、こまつな、さやいんげん、さやえんどう、しゅんぎく、しょうが、すいか、スイートコーン、セルリー(セロリ)、そらまめ(乾燥したものを除く)、ちんげんさい、生しいたけ、にら、にんにく、ふき、ブロッコリー、みずな、みつば、メロン(温室メロンを除く)、やまのいも、れんこん、ししとうがらし(高知県の区域内で生産されるものに限る)、わけぎ(広島県の区域内で生産されるものに限る)、らっきょう(鳥取県、宮崎県及び鹿児島県の区域内で生産されるものに限る)、にがうり(ゴーヤー)(熊本県、宮崎県、鹿児島県及び沖縄県の区域内で生産されるものに限る)、オクラ(高知県、鹿児島県及び沖縄県の区域内で生産されるものに限る)、みょうが(高知県の区域内で生産されるものに限る)である。
特定野菜も、指定野菜と同じく安定供給を目指し、規定の作付面積や出荷量を満たす産地(特定野菜等の対象産地)が定められている。著しい価格低下時には、特定野菜生産者が拠出した負担金に国や都道府県の資金を合わせた基金から、農家への補填が行われている。それぞれの補填については、指定野菜の場合、保証基準額が過去6年間の平均価格の90%であるのに対し、特定野菜の場合は過去6年間の市場価格を卸売物価指数で修正した平均値(平均価格)の80%である、などの違いがある。