現在、乳がんにはさまざまな治療法があり、手術を基本に、薬物療法(化学療法、ホルモン療法、分子標的療法)や放射線療法をどう組み合わせるかは、患者それぞれのがんの性質などによって変わってくる。乳房のセルフチェックや検診でしこりなどの異常がみつかったら、乳腺科を受診して、マンモグラフィや超音波検査を受け、悪性の可能性がある場合は、しこりの細胞や組織を採取してがんであるかどうか、また、がんの場合にはがんの性質を調べる病理検査を行う。
がんと確定されたらMRI検査やCT検査で病巣の広がり具合などを調べ、治療方法を決めることになる。また手術後に乳房のふくらみを作る再建手術をどうするかなどの判断は、患者本人の希望や優先順位により選択することとなる。治療方針を検討する際に知っておきたい基礎知識をまとめた。(監修:明石定子医師〈乳腺外科医〉)
*最近の乳がん罹患率の増加傾向、検診による乳がん予防の重要性などを明石医師に解説していただいた「性知識イミダス:乳がんについて知ろう~治癒の鍵は定期検診と『ブレスト・アウェアネス』」もご覧ください。
乳がんの分類
■がんの病期(ステージ)
乳がんの場合、病期(ステージ。がんの進行状況)は、しこりの大きさ、リンパ節への転移状況、他の臓器への転移の有無によって、0~Ⅳ期に分類される。
0~ⅢA期では、手術を基本に薬物療法や放射線療法を組み合わせる。ⅢB~ⅢC期の局所進行がん、遠隔転移を伴うⅣ期では、主に薬物療法を行い、状況に応じて手術や放射線療法を行う。