金融政策決定会合で決められるのが「政策金利」の水準だ。かつては公定歩合だったが、現在は「コールレート・翌日物」の金利を決めることになっている。これは、銀行同士が資金の貸し借りをする短期金融市場で、「今日借りて、翌日返す」場合の金利だ。日銀はこの金利を上下させることで、間接的に利息や貸出金利など、日本経済全体の金利を動かそうとする。
金融政策を巡って、日銀と政府はしばしば対立する。「物価の番人」たる日銀は、景気よりも物価安定を優先させる。このため、物価を下げるが、景気にもマイナスに作用する政策金利の引き上げに積極的となる。
一方政府は、景気が悪化すると、政権維持に支障を来すから、政策金利引き上げに神経をとがらせる。
こうした対立は世界共通だが、中央銀行の金融政策は、政府の介入を受けないことも世界の常識。「財政が赤字なので、紙幣を増刷!」などといった、政府の身勝手な政策を阻止するのが狙いだ。従って、政府の意向で金融政策が決まるような国は「二流」と見なされ、その国の株価や為替相場の下落を引き起こすこともある。金融政策の独立性は、経済システムの健全性を示すバロメーターでもあるのだ。
テレビで金融政策決定会合のニュースが流れたら、出席している人の数を数えて欲しい。座っているのは10人、11人の場合もある。実は財務省や内閣府など、政府からの出席者が加わっているのだ。
しかし、立場はあくまでオブザーバー、意見は言えるが議決には参加出来ない。議決の延期を求める権利(議決延期請求権)が与えられてはいる。しかし、政策委員会が拒否すればおしまいという、さしたる効果を持たない権利である。
原則として毎月1回開かれる金融政策決定会合。そこは、日本経済の舵(かじ)取りを巡る、政府と日銀の熾烈なバトルの場であり、経済政策が健全かどうかを読み取る場でもある。