一般の人から小口のお金を集める募金には様々な種類があるが、近年ではインターネットを経由した募金が急速に増えている。これが「クラウドファンディング」だ。
クラウドファンディングとは、何らかの目的のために、群衆(crowd)から、資金を集める(funding)ことで、インターネットなどを利用している場合に、こう呼ばれるようになった。募金以外にも政治資金の調達やベンチャー企業の支援などのビジネス分野、イベント開催に映画やCDの制作費を集める際など、様々な場面で活用されている。
クラウドファンディングは、出資者に対する見返りに応じて三つに分けられる。「寄付型」と「購入型」そして「投資型」だ。
「寄付型」は募金に代表されるように、出資者に「感謝」だけが贈られるもので見返りはない。アメリカのオバマ大統領は、クラウドファンディングで選挙資金を集めたが、出資者には感謝するだけで、特別な便宜を図ることはないのだ。
これに対して、金銭以外のものが出資者に提供されるのが「購入型」だ。映画制作に出資した場合には鑑賞チケットを、CDの制作費なら出来上がったCDを受け取るといった具合に、クラウドファンディングにお金を出すことで、結果的には何かを「購入」していることになる。
クラウドファンディングの中で、最も規模が大きくなるのが「投資型」だ。企業が出資者を募集してビジネスを展開し、そこで生み出された利益を出資者に還元する。従来、企業の資金調達は「株式」などの発行によって行われてきた。クラウドファンディングも、資金調達という点では同じだが、株式発行に比べて手続きが簡単で費用も安くなる。1人当たりの投資額も少額であるため、使い勝手のよい資金調達法として注目されているのだ。
欧米では急拡大しているクラウドファンディングだが、日本では発展途上にある。「寄付型」と「購入型」は珍しくなくなったが、「投資型」は、「未上場企業の場合は、1人当たりの出資額は50万円で、募集総額は1億円」などという上限があり、急速な規模拡大には至っていない。
その理由の一つは、クラウドファンディングの出資者には大きなリスクが伴うからだ。CDデビューするはずのアイドルが架空の存在だったり、出資した会社がすぐに潰れてしまったりと、クラウドファンディングには、詐欺まがいのものも紛れ込んでいる。そこで、出資者保護の観点から、上記のような制限が課されている。
拡大が予想されるクラウドファンディングだが、ネット上にあふれているその中身は玉石混交。真面目な「黒い羽根募金」と、本当に怪しい「黒」や「灰色」のものをしっかりと見分けることが大切なのである。