蜀犬吠日
(しょっけんはいじつ)
「蜀犬日(ひ)に吠(ほ)ゆ」と読み下す。中国の蜀(四川省)地方は、山地で霧が深いために薄暗く、その地方の犬は日を見るとあやしんで吠えるという意味から、転じて、無知な人は当然のことであっても、それをあやしみ恐れる。または、見識の狭い人がすぐれた人の非凡な行為を知らずに、疑いあやしむということをたとえていう。
『藤原惺窩文集―訳語』に、「蜀犬之吠レ日也、非二日之不一レ明、以レ不レ知為レ異而已」とある。
〔例〕「あなたのたぐいまれなる才能がわからずに、とやかく批判する評論家がいるようだが、しょせんは、蜀犬吠日(蜀犬日に吠ゆ)のたぐいだ。気にすることはない」などのように使う。
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跖の狗尭に吠ゆ
(せきのいぬぎょうにほゆ)
(「跖」は中国の春秋時代の大盗賊であり、「尭」は古代中国の伝説上の聖なる天子) 盗賊の跖に飼われている犬は、飼い主の跖にはほえないが、他人ならば、聖人の天子の尭にでもほえつくことをいい、人が主人に仕えるのは、かならずしも主人の理非曲直を判断してのうえではないことをいう。また、悪に荷担して賢人をねたむことにもたとえる。
〔出〕戦国策(せんごくさく)
〔会〕「なんだと、若僧。うちの寿司(すし)ネタが輸入物だって」「うちの親方がそう言ったんだから間違いないぜ」「けっ、まさに跖(せき)の狗尭(いぬぎょう)に吠(ほ)ゆってなもんだ。文句を言うならこれを食ってからにしな。ほれ、正真正銘の江戸前寿司だ」
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犬の遠吠え
(いぬのとおぼえ)
臆病(おくびょう)者が、何もできないくせに、陰で空威張りしたり、他人を非難したりすることのたとえ。「犬の長吠え」ともいう。「言わせるだけ言わせておけばいい。所詮(しょせん)は犬の遠吠えにすぎないのだから……」
〔語源〕弱い犬が遠くから人に向かって吠えることから。
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