紀元前6000年ごろから人々と共に歴史を歩んできたパン。日本へは紀元前200年ごろに小麦が伝来、その後空海により806年、蒸しパンが伝えられた。現在は材料も調理法も異なる、数えきれないほどのパンが存在する。ここではパンの名称、生まれた国、その特徴やエピソードなどを紹介する。(「イミダス2002年版」掲載)
ブレッツェル
ドイツ。ラテン語の「組み合わせた腕」に由来する。ひもをゆるく結んだ形で、ドイツではパン屋の看板にもなっている。もとは中世の僧院で祭日用に焼かれたもの。生地を、アルカリ性のお湯につけて表面を固めた後に焼くことで、独特のつやを出す。表面の岩塩がきいているので、ビールのつまみになる。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ロッゲンミッシュブロート
ドイツ。ロッゲンはライ麦のこと。ドイツはパンの名前で大体の粉の配合が分かるのが面白い。これはライ麦粉6~8割、残りが小麦粉である。ライ麦粉が主体の北ドイツ原産の黒パン。形がナマコ形で表面がひび割れており、ライ麦のうまみや酸味が強く、こくがある。シチューなど脂の多い料理と合う。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
シュトーレン
ドイツ。牛乳やバター、砂糖入りのリッチな生地にラム酒に漬け込んだドライフルーツを入れ、イーストで発酵させたクリスマス用のパン。形はキリストの揺りかご、またキリストを包んだ毛布を模したといわれる。バターと砂糖で表面をコーティングしたこのパンを、ドイツではクリスマスが近づくと日曜日ごとに少しずつ食べる。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ツォプフ
スイス。バターや卵、砂糖の入った生地を、細長い棒状にして三つ編みのように編んで焼いた甘いパン。ヨーロッパに広く伝わる。由来は古代の風習で、主人の死に際して妻も埋葬されていたのが、妻の髪の毛を編み込んだものに変わり、それを形容したパンになったという。スイスでは休日に食べる。
◆その他のミニ知識はこちら!【世界のパン】