経済グローバル化の中で、広域に流通させるため均質化され失われていった、野菜を見直す動きが出ている。気候風土に根ざし改良されてきた伝統野菜等のうち特色のあるものを取り上げる。(「イミダス2002年版」掲載。資料:良い食材を伝える会編「日本の地域食材’00」)
行者大蒜(ぎょうじゃにんにく)
北海道、近畿以北の本州各地産。ユリ科ネギ属の野草で深山の林下に見られる多年草。にんにくやねぎに似た匂いがある。山で修行する行者が荒行に耐えるため食べ、この名がついた。アイヌねぎ、ヒトビロ、キトピロ、山にらなどの名もある。健康野草として人気が出たが、自生のものが減り、栽培物が増えている。
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川西長いも
北海道帯広市川西町産。丸みのある形から「十勝とっくり」の名もある。昼夜の大きな温度差がでんぷん含有率を高くさせ、非常に強い粘りを作る。収穫は秋と春の2回だが低温貯蔵により一年中良い状態で出荷している。カリウムが多く含まれ脳卒中や高血圧の予防になる。肉質のきめも細かく栄養満点。
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じゅんさい
秋田県山本町(現・三種町)産。別名「ぬなわ」。地元の天然沼から採取される特産品として知られてきた。ゼリー状の透明な粘液に包まれた若芽のぬめりと、ツルリとしたのどごしが初夏の味覚として好まれる。1970年から始まった米の減反政策を契機に水田転作作物として作付面積が拡大。輸入物に対抗して、品質の向上を図っている。
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だだちゃ豆
山形県鶴岡市白山地区産。庄内地方の方言で父親のことを「だだちゃ」という。枝豆の一種で、甘みが強く独特の良い香りがある。ほとんど地元で消費されていたが、食べた人の間で評判になり人気が出た。種子を取り寄せてよそで作っても、同じ風味は出ないという。地域品種の野菜が見直されるきっかけとなった。
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