経済グローバル化の中で、広域に流通させるため均質化され失われていった、野菜を見直す動きが出ている。気候風土に根ざし改良されてきた伝統野菜等のうち特色のあるものを取り上げる。(「イミダス2002年版」掲載。資料:良い食材を伝える会編「日本の地域食材’00」)
加賀丸いも
石川県能美市根上町ほか産。ヤマノイモ属のつくねいもの仲間で、黒皮種のやまといも。丸い形と粘りの強さが特徴。日本料理や高級和菓子などに利用されている。旬は12月~3月。手取川扇状地帯の柔軟な土質と白山から流れ出る豊かな水を利用して戦前から栽培され、栽培技術の改善により評価が高い。
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守口大根
愛知県扶桑町産。直径は2cm前後と細いが、長さが110~180cmにも及ぶ世界最長の大根。江戸時代初期に中国から原種が伝来、大阪の守口付近で栽培されていた。現在では全国生産高の約65%が扶桑町産。水分が少なく肉質が緻密で辛みが強いため、漬物用に使われる。粕漬けにすると味や歯ざわりが良い。
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日野菜(ひのな)かぶ
滋賀県日野町、草津市、八日市市(現・東近江市)産。戦国時代から栽培されている歴史の古いかぶ。上部は鮮やかな紫紅色、下部は白色でその対比が美しい。かぶには珍しい長根で直径約3cm、長さは20~30cmにもなる。もっぱら漬物用に加工されており、特に桜漬けは名産。辛みと酸味がさわやかな風味を生み、愛好者も多い。
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京たけのこ
京都市西京区、向日市、長岡京市ほか産。約300年の歴史を持つ、京都の春の味覚の代表。えぐみがなく、肉厚で柔らかく、甘みがある。敷きわらや土入れ、親竹の間伐(かんばつ)など、栽培農家のよく手入れされた竹林で、3月下旬~5月下旬に収穫される。京都には、たけのこ料理専門店もあり、季節には産地一帯がたけのこで沸く。
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