食文化として根源的なところで日本との共通点も多いイタリア料理。有名でも本来の意味や伝来が意外に知られていない用語、ユニークな表現、代表的メニュー、調理法などを中心に、イタリア料理の基本を理解するためのミニキーワード集である。(「イミダス2003年版」掲載・改訂)
「溺れた蛸(たこ)」
イタリアはシーフードの宝庫。ナポリ料理ポルペッティ・アフォガーティは「溺れた蛸」の意で、小ぶりな蛸を丸ごと煮込む。
魚介類のごった煮ズッパ・ディ・ペッシェは海沿いの町ならどこにでもある。ベネチアの名物料理モレケは脱皮直後の柔らかいカニを丸ごと揚げたもの。シチリアではカジキマグロ料理が有名。
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ポルケッタ
イタリア中部の名物料理「豚の丸焼き」。豚の中にハーブ類を詰め込み、脂身を生かすようにローストする。香ばしく焼けた外皮と肉の間に脂身が挟まれているが、ハーブの香りが口中をさわやかにして脂っぽさがない。豚は昔から「捨てるところがない」といわれ、各部位がそれぞれおいしい食材となっている。
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セルヴァッジーナ
「野生動物」の意。地中海地方ではイノシシ、キジ、ホロホロ鳥、野ウサギ、鹿などもセコンド・ピアットに出ることがあるが、現在ではほとんどが飼育されたものといわれる。生育地で特化したブランド牛肉がある一方で、狩猟による獲物の「野生」を売り物にする伝統の食文化の奥行きと幅がうかがわれよう。
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ピッツァ
元は漁師の食べ物。発酵パン生地の上に好みの具を載せて焼く、手軽なスナックとして広く普及。日本でもポピュラーなイタリア食品。アメリカでは「ピザパイ」とパイの仲間に入れている。発祥の地ナポリのピッツァが美味なのはトマトの処理法とモッツァレッラの新鮮なチーズ味によるところが大きい。
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