カタカナ語が多い園芸植物の名前も語源をたどれば覚えやすくなるだろう。(「イミダス1999年版」掲載・編集。参考:中村浩著『園芸植物名の由来』東京書籍)
シクラメン(cyclamen)
シリア原産といわれるサクラソウ科の植物で、地中海沿岸に野生。17世紀にさまざまな品種改良が行われた。園芸種は学名シクラメン・ヒブリダ〔Cyclamen hybrida〕。シクラメンはラテン語で旋回するという意味で、英語のサイクル(cycle)の語源。つぼみが立つと、茎がらせん形にねじれてくることからの名。ヒブリダは「雑種」を意味する。
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シネラリア(Cineraria)
現在はセネキオ属に分類されるが、古い属名がそのまま使われている。カナリア諸島原産のセネキオ・クルエントス〔Senecio cruentus〕を原種にした交配種。セネキオは「老人」、クルエントスは「血まみれの」を意味し、花後の冠毛を白髪、真紅の花を血に見立てたもの。シネラリアは灰色を表すシネレウス(cinereus)が源で、冠毛の色から。
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シャスター・デイジー(Shasta daisy)
数あるデイジーの園芸種の一つ。アメリカの育種家バーバンクがフランスギクと日本のハマギクの交配で作り出した。白い雪を頂いてそびえるカリフォルニアのシャスター山にちなむ名で、花の白さを山の雪に見立てたという。学名クリサンテマム・マキシマム〔Chrysanthemum maximum〕は「巨大輪のキク」という意味。
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スカビオサ(scabiosa)
マツムシソウ科の園芸植物で、セイヨウマツムシソウと呼ばれる。学名はスカビオサ・アトロプルプレア〔Scabiosa atropurpurea〕。スカビオサは皮膚病の疥癬(かいせん)のことで、この属の植物に皮膚病に効くものがあるところからついた名。アトロプルプレアは「黒紫色の」という意味。
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