中国国家航天局(CNSA)が実施している月探査計画の名称。同計画により2007年以降打ち上げ続けている月探査機シリーズの名称でもある。「嫦娥」は中国の神話に登場する月の仙女の名に由来する。20年以上の年月をかけて技術開発を積み上げて、一歩ずつ、より複雑で技術的に困難な探査を実施してきた。
嫦娥計画は、(1)月周回探査、(2)月面着陸と無人探査車による探査、(3)月土壌のサンプルリターン、(4)月面南極域の無人長期科学探査——という4段階で構成されており、21年2月現在、5号までが打ち上げられている。
これまでに、①嫦娥3号:米国と旧ソ連に続き世界で3番目に月面軟着陸に成功し、探査車を走らせる、② 嫦娥4号:世界で初めて月の裏側への無人軟着陸に成功、③嫦娥5号:旧ソ連に続き世界で2番目に無人で月面の土壌サンプルを採取し、地球に持ち帰ること(サンプルリターン)に成功——などの成果を上げている。中国はこれらの成果に基づいて、2030年代に有人月探査を実施することも検討している。