ヒトパルボウイルスB19による感染症のこと。両頰に赤い発疹が出ることからリンゴ病と呼ばれる。子どもを中心にみられる感染症。症状は軽いが、妊婦が感染した場合は、胎児の病気や流産につながるリスクがある。
感染した人に触れたり(接触感染)、その咳を吸い込んだり(飛沫感染)することで感染する。約10日から20日間の潜伏期間の後に微熱や風邪のような症状が出て、その後、両頰に赤い発疹(紅斑)が現れる。さらに手や足などにも発疹が広がるが、1週間ほどで消える。治療法は見つかっていない。また、症状が軽く、発疹が現れるころにはウイルスの感染力はほぼ消失しているため、実質的な感染予防策も存在しない。感染しても症状が出ないこともある。
感染するのは2~12歳が多く、成人は少ないが、妊婦の感染によって胎児が感染した場合、胎児の体内に水がたまる「胎児水腫」という重篤な病気や流産を引き起こすこともある。妊婦は、リンゴ病の流行期には風邪のような症状の人には近づかず、手洗いやうがいなどの基本的な感染予防に努めることが対処法となる。
年始から7月上旬にかけて増加する傾向がある。また、感染症発生動向調査によれば、約5年周期で流行することが分かっている。前回流行した2019年前後から5年が過ぎた2024年11月以降、患者数が急増しており、すでに関東を中心に複数の都県で警報が出されている。同年12月6日、厚生労働省の感染対策課とこども家庭庁の母子保健課は連名でリンゴ病について注意喚起を促す「事務連絡」を全国の自治体に発出した。リンゴ病について、こうした注意喚起が行われるのは初めてである。