不妊症は女性だけの問題ではなく、男性側に原因があるケースも少なくないということはだいぶ知られるようになってきた。一方、不妊症を診てくれる医療機関の多くは産婦人科系なので、男性不妊症の検査や治療について具体的にイメージしにくい人もいるだろう。男性不妊症に関して知っておきたいことを、泌尿器科医で東京・日本橋「プライベートケアクリニック東京 東京院」院長の小堀善友医師にうかがった。
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精子も老化で機能が低下する
――WHO(世界保健機関)の統計によると、不妊症の原因の約48%に男性が関与しているとのことですが、男性不妊症の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
男性不妊症の原因として数が多い順に、精子をつくる機能が低下する「造精機能障害」、勃起や射精ができない「性機能障害」、精子の通り道が詰まっている「精路閉塞障害」の3つが挙げられます。なお、いろいろ調べても原因がわからないケースもある、ということは知っておいてほしいと思います。
まず、男性不妊症の80%を占める造精機能障害については、原因の35%以上が精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)で、手術や抗酸化療法(抗酸化作用を持つ薬剤やサプリメントの内服)によって精子を作る力を改善させれば、パートナーの妊娠を助けることがわかっています。
次に、最近増えていると言われる性機能障害は、勃起障害と射精障害に分けられます。
精索静脈瘤
精巣の中にある静脈に血液が逆流したり流れが悪くなったりして、陰嚢の精索の中にある蔓状の静脈が腫れ上がり、静脈瘤を形成した状態。
「タイミング法」
最も妊娠しやすい日(排卵日2日前~排卵日)に性交し、妊娠を試みる方法のこと。
「シリンジ法」
タイミング法と同じく、最も妊娠しやすい日を予測し、子宮の奥に届くよう、腟内に柔らかい管を入れて精子を注入し、妊娠を試みる方法のこと。