「早い」「遅い」「できない」「勃(た)たない」……男性にとって、射精や勃起にまつわる悩みにはいろいろなものがある。どこに相談すればいいのかわからず、ネットで情報を集めても不安で、ひとり悶々としている人もいるかもしれない。いたずらに焦ったり、落ち込んだりする前に知っておくべきことは何か、泌尿器科医で男性の性機能障害に詳しい小堀善友先生(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科)にうかがった。
●はじめに~日本で増加する男性の性機能障害
Q1. 高校生になりましたが、一度も射精できたことがありません。自分だけおかしいのではないかと不安です。
Q2. 50代になってから、なかなか勃起できなかったり、セックスの途中で萎(な)えてしまったりすることが増えてきました。老化なのでしょうか?
Q3. ネットでEDに効くという薬が激安で販売されていましたが、処方箋なしで買っても大丈夫でしょうか?
Q4. 挿入するとすぐに射精してしまうので、パートナーを満足させていないのではないかと心配です。早漏は、治療したほうがいいでしょうか?
Q5. マスターベーションでは射精できるのに、セックスで射精できません。パートナーとの関係が悪くなってしまい、どうすればいいのか悩んでいます。
Q6. 射精した感覚はあるのに、精液がほとんど出てきません。精子が少ないのではないかと心配です。
Q7. 射精するときに痛みがあります。何かの病気でしょうか?
男性生殖器の位置と名称(側面図)
●はじめに~日本で増加する男性の性機能障害
性機能障害とは、セックスを行うことが困難な状態のことを指し、男性の場合、主に勃起障害(ED : Erectile Dysfunction)と射精障害が挙げられます。
私が専門とする不妊治療の診療現場では、近年、この性機能障害の受診件数が増えています。たとえば横浜市立大学による、男性不妊外来の受診者に関する調査では、性機能障害を原因とする受診者数が、1996年度の50名(約3.3%)から2014年度には980名(約13.5%)と大きく増加しました。
性機能障害の内訳は、日本全体の患者数で見れば勃起障害が断然多く、推計1000万人以上いるといわれていますが、男性不妊外来では射精障害のほうが多く見られる傾向があり、この調査でも、980名中、射精障害(538名)が勃起障害(442名)をやや上回りました。