特徴:子宮内膜にできる良性の腫瘍で、エストロゲンが関係していると考えられている。症状がないことが多く、自然になくなることもあるが、1センチ以上の子宮内膜ポリープは不妊症の原因になったり、悪性化のおそれがあったりするため、ポリープのサイズや症状によっては切除が必要になる。
症状:多くは無症状。不正出血、過多月経、過長月経、貧血などが見られることもある。
治療:自覚症状がなければそのまま様子を見る。ポリープのサイズや症状によって、手術による切除を行う。
外陰炎
【こんな悩みがある人は要注意!】外陰部の赤み/外陰部のかゆみ/おりものの異常/外陰部の不快感 など
特徴:外陰部が炎症を起こす病気。感染性と非感染性に分かれる。感染性は20~40代に多く、真菌(カンジダなど)、細菌(大腸菌など)、ウイルス等が感染して起こる。性感染症(性器ヘルペス、淋菌〈りんきん〉感染症、性器クラミジア感染症、ケジラミ症など)が原因のこともあるが、カンジダなどもともと体内にあった菌が、免疫が低下することで活性化し、発症するケースもある。
非感染性は閉経後に多く、エストロゲンの減少で皮膚や粘膜が乾燥しているところに生理用ナプキンやおりものシート等が接触して炎症を起こしたりする。外陰炎は腟炎と併発することが多い。小児が清潔を保てずに外陰炎・腟炎を起こすことがある。
症状:外陰部の赤み、外陰部のかゆみ、おりものの異常、外陰部の不快感など。
治療:感染性の場合は、感染の原因に応じて治療を行う(主に塗り薬や腟剤)。非感染性の場合は、原因となっているものの使用をやめるなどの他、症状に応じて炎症を改善する塗り薬が処方される。
バルトリン腺嚢胞・膿瘍
【こんな悩みがある人は要注意!】外陰部の違和感/外陰部の痛み など
特徴:バルトリン腺嚢胞は20~30代の女性に多い病気で、腟口の脇にあるバルトリン腺(大前庭腺〈だいぜんていせん〉)の開口部が炎症を起こし、バルトリン腺に通じる管が詰まった状態になる。細菌感染(大腸菌など)、淋菌感染症など性感染症が原因のこともあり、嚢胞が進行して膿がたまるとバルトリン腺膿瘍(のうよう)となる。症状が軽い時期は自覚症状がないことも多いが、炎症がひどくなると立ち座りが困難なほどの痛みを外陰部に感じたり、性交痛、排尿障害・排便障害を起こしたりする。痛みがあるときは治療が必要である。
症状:外陰部の違和感、痛み、性交痛、排尿障害、排便障害、皮膚の赤みなど。
治療:炎症が軽度の場合、抗菌剤を服用したり塗布したりする。膿ができるなど症状が進行している場合は、切開手術などが必要となる。
萎縮性腟炎
【こんな悩みがある人は要注意!】腟や外陰部のかゆみ/性交痛/不正出血/黄色いおりもの など
特徴:老年期の女性に多い病気で、エストロゲンの分泌量が減少し、腟などの女性生殖器が萎縮し、腟の分泌物も減少して潤いがなくなるため、腟に炎症が起こる。腟分泌物による自浄作用もなくなるため、炎症が起こりやすくなる。
症状:腟や外陰部のかゆみ、性交痛、不正出血、黄色いおりもの、臭いがあるおりものなど。
治療:保湿剤で皮膚を保護する。腟の中に女性ホルモン剤を投与し、腟粘膜の状態を改善させる。症状が強い場合はレーザー治療を行う(自費)。
骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱脱、直腸脱など)
【こんな悩みがある人は要注意!】性器や臓器の下垂感/排尿困難/便失禁 など
特徴:子宮や膀胱、直腸などを支えている骨盤内の筋肉(骨盤底筋)が加齢でゆるみ、これらの臓器が腟の外に下がってくる病気。従来は高齢の方や、多産婦に多いと言われてきたが、骨盤底筋を鍛えにくいライフスタイルが一般的となり、年齢や出産回数にかかわらず起こるようになってきている。また、重いものを持つことが多い人や肥満、慢性的な咳や便秘もリスク要因となる。骨盤底筋体操などによって筋肉の衰えを防ぐことが予防になる。
症状:性器や臓器の下垂感、排尿困難、便失禁、歩行困難など。初期には、しゃがんだときに股の間に丸いものが出てくるような感覚もある。
治療:軽症の場合は、骨盤底筋体操の指導の他、ペッサリーと呼ばれる器具(リング状をはじめ、さまざまな形状がある)を腟内に入れて臓器が下がってこないように支える(3~6カ月で新しい器具に交換する)。根本的な治療は手術で、腟式子宮全摘術+前後腟壁形成術、子宮を摘出しないマンチェスター手術、臓器をメッシュで支えるTVM手術、テープで補強するTFS手術などさまざまな選択肢がある。保険適応かどうかも含め、それぞれのメリット、デメリットを医師とよく検討することが必要。