穀物や果実などを発酵・蒸留して造られる酒は、各地の文化や気候風土、嗜好などを反映し、長い歴史の中で洗練されてきた。世界各国の代表的な蒸留酒・醸造酒・リキュール(混成酒)の原料や製造法、味・香りの特徴などを紹介する。(「イミダス2001年版」掲載)
コニャック
ワインを蒸留した酒がブランデーであるが、質、量ともにフランスは世界一のブランデー生産国。特にコニャックとアルマニャックは、その生産地、ブドウ品種、蒸留法を法律で厳しく規制している。フランス西南部のコニャック地方に産するこの酒は、2回の蒸留の後、ホワイト・オークたるで熟成され、洗練された風味を持つ。
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アルマニャック
コニャックと並ぶフランスの代表的ブランデー。南仏ピレネー山脈に近い旧アルマニャック地方で製造され、原料はコニャックと同じく、主にサンテミリオン種のブドウ。基本的に1回のみの蒸留で、これをブラック・オークたるに入れて熟成させる。コニャックに比べ、原料の風味・香りが残り、粗削りな魅力がある。
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グラッパ
ワイン用ブドウの搾り残しを再発酵させブランデーにした、イタリアのいわゆる「かす取りブランデー」。ブドウ産地の特色を残しているものが多いが、たる熟成をしないために無色透明。フランスではマール(正式にはオー・ド・ヴィー・ド・マール)がこれに当たるが、こちらはたる熟成するところがグラッパとの大きな違い。
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ピスコ
南米大陸のペルーやチリ、アルゼンチンなどで造られる蒸留酒で、マスカット系のブドウのワインを蒸留、熟成させたブランデーの総称。名前はペルーの小さな港町ピスコからきている。無色透明で、ツーンと鼻にくるにおいが特徴。現地では、これをベースにしたカクテル「ピスコ・サワー」を食前酒として飲むのが一般的。
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