穀物や果実などを発酵・蒸留して造られる酒は、各地の文化や気候風土、嗜好などを反映し、長い歴史の中で洗練されてきた。世界各国の代表的な蒸留酒・醸造酒・リキュール(混成酒)の原料や製造法、味・香りの特徴などを紹介する。(「イミダス2001年版」掲載)
ジン
起源はオランダの医学者が開発した薬用蒸留酒だが、香料に使うジュニパーベリー(ネズの実)を縮めてジンと名付けたのはイギリス人。現在多く飲まれているものはトウモロコシ、大麦麦芽を主原料として、香料にジュニパーベリーのほか、アニス、フェンネル等多種の香草・薬草を使うドライ・ジン。カクテル・ベースにも多用する。
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アクアヴィット
スウェーデン、デンマークなどの北欧諸国で造られる蒸留酒。その名はラテン語の「命の水」という意味。主原料のジャガイモを大麦麦芽あるいは酵素で糖化し発酵させ、蒸留させる。これにキャラウェー、フェンネル、クミン、カルダモンなどで香りをつけ、再び蒸留させた無色透明の酒。別名ハーブ・スピリッツ。
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テキーラ
マゲイ(リュウゼツランの根茎)を原料とするメキシコの蒸留酒。ホワイト・テキーラとゴールド・テキーラがあり、たる熟成させないホワイトは無色透明で強い香りを持ち、オークたるで熟成させたこはく色のゴールドには深いコクがある。アメリカで好まれ、日本でも「マルガリータ」などのカクテル・ベースとして有名。
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ラム
キューバ、ジャマイカ等のカリブ海諸島の国々で産する、サトウキビから造る蒸留酒。風味の軽いライト、重いヘビー、中間のミディアムに分けられるほか、色によりホワイト、ゴールド、ダークに大別されるなど、味や風味に非常に幅があるのが特徴。ストレートやオンザロックで飲むほか、カクテル・ベースや洋菓子作りにも用いる。
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ピンガ
サトウキビを原料とするブラジル特産の蒸留酒。原料はラムと同じであるが、サトウキビの搾り汁に水を加えずそのまま発酵させ、それを蒸留する製法が特徴。水を加えない分、ラムより素朴で、かつ重厚な味わいがある。アルコール度が40度前後の強い酒で、特有の糖みつの香りがあり、色は無色透明か淡い褐色。
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