穀物や果実などを発酵・蒸留して造られる酒は、各地の文化や気候風土、嗜好などを反映し、長い歴史の中で洗練されてきた。世界各国の代表的な蒸留酒・醸造酒・リキュール(混成酒)の原料や製造法、味・香りの特徴などを紹介する。(「イミダス2001年版」掲載)
チチャ
ボリビア、ペルー、エクアドルなど南米アンデス地方で造られる独特の酒。トウモロコシを発酵して造るが、アルコール分は低く、グレープフルーツにも似たわずかな酸味と甘みがあるのが特徴。中でもボリビア中部の町・コチャバンバのものが評判で、「チチェリア」と呼ばれるビアガーデン風の店で飲むことができる。
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クミス
コーカサスから中央アジアにかけての遊牧民族の間で造られる、馬乳を発酵させた酒。アルコール度は1~3度と低く、やや酸味があるのが特徴。特にモンゴルでは「アイラグ」と呼ばれ、ゲル(遊牧民の移動式住居)の壁に掛けられたフフールという皮袋に入れられ、日々中身をかくはんし、日常や祭り、結婚式などで飲まれる。
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バンチャン
ブータンで飲まれている珍しい固形の酒。ゆでた穀類の水分を飛ばしコウジを混ぜ、数日してアルコール臭が出てきたら密閉容器に入れ、数週間発酵させると粒状の酒の素ができる。これにお湯を注いで上澄みをすくって飲んだり、直接ストローを差し込んで吸って飲む。飲み尽くすとまたお湯を注いで飲み、これを繰り返す。
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黄酒(ホアンチュウ)
もち米、うるち米、キビなどを原料とする中国の黄褐色の醸造酒。4000年以上前から造られているといわれており、ほどよい甘みと酸味、芳醇な香りがある。代表的なものに「紹興酒(シャオシンチュウ)」があり、かめで長期間熟成したものは「老酒(ラオチュウ)」と呼ばれ、古いものほど珍重される。
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