紀元前6000年ごろから人々と共に歴史を歩んできたパン。日本へは紀元前200年ごろに小麦が伝来、その後空海により806年、蒸しパンが伝えられた。現在は材料も調理法も異なる、数えきれないほどのパンが存在する。ここではパンの名称、生まれた国、その特徴やエピソードなどを紹介する。(「イミダス2002年版」掲載)
ナン
インド。小麦粉、牛乳、ギー(インド式バター)などにベーキングパウダーや重曹を加えて発酵させた生地をのばして、タンドールという素焼きの窯の内側の壁に張りつけて焼く。インド、パキスタンから中央アジア、イランまでナンの仲間がある。ふっくら軟らかく、甘味がある。カレーにつけたり、肉や野菜をはさんで食べる。
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饅頭(マントウ)
中国。球を半分に切ったような真っ白なパン。小麦粉に水を混ぜ、老麺という残しておいた生地を元種に使い、発酵させて蒸すが、材料、作り方とも様々。小麦粉の風味があり、ほんのり甘くしっかりした味。おかずと一緒に、また軽食やおやつに食べる。詰め物のないものを饅頭、詰め物入りを包子(パオズ)という。
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薄餅(バオピン)
中国。小麦粉と水のみで作るクレープ状のパン。薄く透き通るものから、厚でのもの、生地にねぎや海老が入ったものなど種類多数。少々甘味があり、やや弾力がある。薄いものは、みそ、炒めた肉や野菜などいろいろなおかずを包む。厚めのものはそのまま食べる。北京ダックを包むのがこの薄餅。
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あんパン
日本。もとは酒種で発酵させた生地で小豆あんを包んだパン。最近はほとんどが菓子パン生地で、中身も白あん、うぐいすあんなど多種。1869年(明治2)に東京に開業した文英堂(木村屋の前身)が酒種酵母菌を開発してできたパンが原点。1875年(明治8)、明治天皇のお花見に桜あんパンが献上されたことを機に流行。
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