経済グローバル化の中で、広域に流通させるため均質化され失われていった、野菜を見直す動きが出ている。気候風土に根ざし改良されてきた伝統野菜等のうち特色のあるものを取り上げる。(「イミダス2002年版」掲載。資料:良い食材を伝える会編「日本の地域食材’00」)
民田(みんでん)なす
山形県鶴岡市ほかの庄内地方産。生産地の鶴岡市民田の名に由来する、小型の丸なす。皮が柔らかく、肉質がしまり、歯ざわりが良い。6月下旬から収穫が始まり、旬は7~8月。漬物に最適で、からし漬け・当座漬けなどに加工される。小型の中でも、さらに小さなものを使ったからし漬けが、山形名産となっている。
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温海(あつみ)かぶ
山形県温海町(現・鶴岡市)産。同町の一霞(ひとかすみ)を中心として、鶴岡市などの庄内地方で現在では珍しい焼畑農法で栽培されている。このため連作はできず、また種子はすべて自家採取している。紫紅色の丸かぶで、肉質がしまり甘みがあり、なますや酢の物・漬物・サラダに最適。自家用以外は加工工場で甘酢漬けにされている。
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深谷ねぎ
埼玉県深谷市ほか県北部産。ねぎには、白根の部分が長い「根深ねぎ」と緑の部分が多い「葉ねぎ」がある。根深ねぎは、白根の部分を長くするため何度も土寄せをするが、深谷市周辺は沖積土のため耕土が深く、白い部分を長くするのに適していた。
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大浦ごぼう
千葉県八日市場市大浦地区産。太さ約30cm、長さ約1m、重さ2~4kgの巨大ごぼう。水はけの良い斜面で栽培される。10世紀ごろから作られてきた歴史の古いごぼうだが、現在は一般販売はされず、毎年成田山新勝寺に奉納され、精進料理としてふるまわれている。市の指定天然記念物になっているのは、野菜としてまれな例である。
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