男性生殖器が関わる泌尿器科系疾患について、症状や治療法など基本的なことをまとめました。〈監修:今井伸医師(泌尿器科医)〉
【今井伸医師に、小児期から老年期まで、年代ごとに注意すべき男性生殖器の疾患についてうかがった「性知識イミダス:男性特有の病気~男性生殖器が関わる泌尿器科系疾患について知ろう」もご覧ください】
男性生殖器の構造
【男性生殖器の詳細に関しては、「性知識イミダス:男性の生殖器を知ろう」をご覧ください】
停留精巣
【こんな症状があったら要注意!】1歳頃になっても精巣(睾丸〈こうがん〉)が陰嚢(いんのう)の中に降りてきていない
特徴:停留精巣は、通常ならば胎児のうちに腹部から陰嚢へと下降するはずの精巣が、鼠径(そけい)部や腹腔内にとどまり、陰嚢の中に入っていない状態のこと。新生児期には5%前後にみられ、出生時や乳児検診で停留精巣と指摘された場合は小児泌尿器科を受診することが望ましい。普段は精巣が降りていなくても、お風呂に入っているときなどリラックスした状態のときに降りていれば、停留精巣ではなく「移動性精巣」と呼ばれる。左右の精巣が陰嚢に降りてきていない「両側性」、片方の精巣だけ降りてきていない「片側性」がある。
停留精巣を発症した男児は、精巣がんのリスク、鼠径ヘルニアや精巣捻転(ねんてん)症を合併しやすいと考えられているが、生後6カ月頃までなら精巣が自然に降りてくることが期待できる。それ以降も変化がない場合には手術が検討される。停留精巣を発症していた男性の将来子どもをつくる能力(妊孕性〈にんようせい〉)は、発症していない人と比べると、「両側性」で30~65%程度、「片側性」で70~90%程度に低下するとされており、より早期に手術することにより、妊孕性が高まる可能性がある。
症状:精巣が降りてきておらず、陰嚢を触っても、中に精巣があることを感じられない。
治療:生後6カ月頃まで経過観察を行い、それでも精巣が降りてきていない場合は、1歳前後から2歳頃までに手術を行うことが望ましい。