しゃべるだけで心の健康状態がわかる!
光吉俊二(PST株式会社代表取締役)
(構成・文/石川憲二)
PSTは、まだ新しい技術ですが、ヨーロッパではメンタルヘルスにおける予防医学の切り札として導入を図る動きがあり、臨床を含めた実験が計画されています。一方で、日本が世界をリードし、ビジネスとして成功させていく萌芽も見え始めています。2013年9月、神奈川県、横浜市、川崎市は三団体共同で国家戦略特区に関する計画、「健康・未病産業と最先端医療関連産業の創出による経済成長プラン」を提出しました。実は、そのプロジェクトの一つにPSTによる医療相談支援システム「心のレントゲン」の構築が含まれました。神奈川県ではPSTを使った新規ビジネスの創生を積極的に支援し、世界的な市場を形成していこうとしています。
さらに、最近では、PSTは心の問題以外にもさまざまな医療分野に応用できるのではないかと考えられるようになってきました。たとえばパーキンソン病に特徴的な引っかかるような声(吃音〈きつおん〉)や、脳梗塞の一部にみられるかすれ声(嗄声〈させい〉)といった傾向がわかってきたので、それを検知することにより病気を早期に発見したり治療の効果を判定できるかもしれないのです。また、血糖値が高くなると寝息が乱れることがあるので、就寝中の呼吸音やイビキなどの音から糖尿病を診断できる可能性もあります。「心のレントゲン」を目指して開発を始めたPSTでしたが、将来的には心だけでなく身体のさまざまな症状を調べる切り札になっていくかもしれません。
著者情報
PST株式会社代表取締役
光吉俊二
みつよし しゅんじ
1965年、北海道生まれ。88年、多摩美術大学美術学部彫刻科卒業。前衛彫刻家として活躍する一方、コンピューター開発やインターネット技術の世界に魅了され、99年、ITベンチャー企業の株式会社エイ・ジー・アイ(現・AGI)を設立。2003年、徳島大学大学院工学系研究科博士課程入学。同年から1年間、スタンフォード大学客員研究員を経て、06年に博士課程修了。工学博士。12年にPST株式会社を設立し、代表取締役就任。14年12月より、東京大学大学院医学系研究科特任講師に就任予定。