カタログの読み方(8) ビデオムービー編・前編
鴻池賢三(DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー)
昨今のビデオムービーは、十数万円で買える製品でさえ、一昔前のプロ用を超えたハイビジョン画質があたりまえになっています。種類も豊富で、画質重視派から携帯性重視派まで、満足のいく製品が見つかるでしょう。最近では、記憶媒体の性能が向上したこともあり、高画質とコンパクトさが両立しているのもポイントです。そんな盛りだくさんなビデオムービーの選び方のコツを、今回は前後編で解説します。
どう選ぶ? なじんだメディアと新しいメディア
撮影したデータを記録する記憶媒体の種類によって、使い勝手や特長が大きく異なります。特にHDD(ハードディスクドライブ)や各種の半導体メモリーは新しい機能だけに、それぞれの長所や短所を把握しておきましょう。まずHDDは、メディアの交換が不要で、長時間の記録とコンパクトさを両立できる点で人気です。半面、撮影後は、映像をDVDなど他のメディアへダビングする必要があるのが難点です。メモリータイプはHDDを上回るコンパクトさが最大の特長で、もちろん交換も可能ですが、大容量のメモリーカードは高価で、撮影時間も比較的短めです。BD(ブルーレイディスク)やDVDなどのディスクメディアに記録するディスクタイプは、本体が大きくなりがちで、撮影時間も短いのですが、メディアが比較的安価で、撮影後、家庭のプレーヤーですぐに再生できるため、機械が苦手な方には便利でしょう。テープは記録メディアとして最も安価ですが、フルHD録画ができないこと、撮影した映像の高速転送が苦手なことなど、技術的な限界が見えはじめ、家庭用機器ではごく少数派になっています。
最新H.264はMPEG-2よりも高画質?
H.264とは、MPEG-2と同レベルの画質を保ちつつ、同じ記憶容量で約4倍もの撮影が可能となる、高度な圧縮規格です。MPEG-4と技術的に同様であるため、H.264/MPEG-4AVCと並記されることもあります。特に、容量の限られるメモリータイプでフルHD撮影をする際には欠かせない機能といえ、パナソニックとソニーはこれをビデオムービーのための仕様にまとめ、「AVCHD」の名称を与えています。ただし、まだ開発途上なため、メーカーによっては、動きの多い映像でブロックノイズやモスキートノイズが目立つこともあります。HDDを搭載した機種などで、容量を気にせずに画質を最優先とするなら、実は、まだMPEG-2が有利なのです。
二極化が進む。ハイテクの結晶
昨今のビデオムービーは、全体的に小型化の傾向がありますが、大まかには、ポケットサイズの「超コンパクトサイズ」と、「手のひらサイズ」とに二分できます。しかしながら、最終的な画質は、実はレンズが決め手となります。レンズの性能は、大きさや使う枚数などに基づくため、超コンパクト機は画質面で不利と心得ましょう。
光の像を電気信号に変換する撮像素子には「CMOS」と「CCD」の二つがあり、長年、CCDの方が高性能といわれてきましたが、今ではCMOSも改良されて、画質面で遜色はありません。最近のHD(ハイビジョン)タイプに至っては、バッテリーを長持ちさせる観点からも、消費電力の低いCMOSが主流になっています。もはや、CCDにこだわる必要はどこにもありません。
画質でいえば、「HD(ハイビジョン)画質」が標準的となりましたが、「SD(標準)画質」だって、用途によっては活躍します。例えば、「YouTube」などの動画共有サイトへ投稿する場合なら、SD画質で十分でしょう。録画データの量も少ないので、同じ容量のメモリーでも、より長い時間撮影できますし、編集や投稿の際もスピーディーです。
ハイビジョン時代の今、ムービーのポジションは?
動画の緻密さ、色の再現性などといった総合的な画質は、レンズ、撮像素子、膨大な映像データを処理する映像エンジンや圧縮方式によって決まります。また、録画するビットレートが大きいほどデータサイズは大きくなりますが、高画質が期待できます。画質にとことんこだわるなら、最高録画ビットレートが大きい製品に注目しましょう。
また、カタログ上で「フルHD(1920×1080画素)」と称していても、これが「撮影時」ではなく「記憶媒体への記録時」の解像度であることもあります。撮影素子の画素数が1920×1080より少ないにもかかわらず、記憶媒体に記録するときに信号を補完して1920×1080画素に水増しするものもあるので、注意が必要です。また、最高画質撮影モード以外では、データ量を節約するために1440×1080画素で記録する製品も多くあります。購入の際は、「撮影が1920×1080」なのか、「記録が1920×1080」なのか、チェックしましょう。
ポイントはまだまだあります。後編へ
今回の前編では、基本機能に関するトレンドと、それぞれの特長や短所を解説しました。後編では、撮影時や撮影後など、実際の使用シーンを想定し、製品の選び方を解説していきますのでお楽しみに!
著者情報
DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー
鴻池賢三
こうのいけ けんぞう
1969年生まれ。大手AV機器メーカ一、米シリコンバレーの半導体ベンチャー企業を経て独立。商品企画・技術コンサルティング業を軸に、情報サイト『All About』をはじめ、新聞、雑誌、テレビなどでアドバイザーとして、また『ビジュアルグランプリ』(音元出版主催)の審査員、日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員を務めるなど幅広く活躍中。日本で唯一のISF認定映像調整技術者でもある。