ファッショントレンドを支える日本の「匠」
藤岡篤子(ファッション・ジャーナリスト)
日本のテキスタイルや副資材がトップブランドから注目される理由には、日本ならではのきめ細かいフォローなど徹底的に相手をおもんぱかる心遣い、製品の独自性、品質の高さ、安定した納期や供給力への信頼が挙げられる。
同時に、日本のメーカーが意図しない視点で用いられることによって、製品に新たな命が吹き込まれることも多い。
「まさか、こんなアイテムに使用されるとは!」とは、先述のメーカーからよく聞かれた言葉だ。資材用の製品をブレザーに仕立てる、ツイードにリボンを織り込む、タオルはジャケットとなってエレガントに変身する。作り手の想像を超えたデザイナーの創造力の羽ばたき。そしてクリエーターを刺激するMade in Japanの優れた技術とオリジナリティーの高さ。日本のメーカーも、クリエーターの斬新な発想を得て更に前進する。理想的なクリエーションのバランスが、今Made in Japanを新たなステップへと導こうとしている。
世界のラグジュアリーブランドが発信するコレクション、華々しく発表されるトレンドを支えるMade in Japanの数々。しかし、これらのメーカー名をブランド側が明かすことは決してない。それはそうだろう。誰だってブランドの独創性と美意識をサポートしてくれる名バイプレーヤーは門外不出にしておきたいものだ。
著者情報
ファッション・ジャーナリスト
藤岡篤子
ふじおか あつこ
佐賀大学教育学部卒業。国際羊毛事務局を経て、1986年フジオカ事務所設立。ファッション・トレンド分析、毎シーズンの4都市コレクション取材と報告講演会・セミナーや、ファッション誌、単行本などの文筆活動を行う。