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一語千金

REIT(不動産投資信託)

[Real Estate Investment Trust]
「プチ大家」になる方法

玉手義朗(エコノミスト)

「毎月、家賃収入があるから、働かなくてもいいんだ」という知人を、周囲の人たちはうらやましがる。両親が建てた賃貸マンションを引き継いだ彼には、毎月自動的に家賃が振り込まれてくるという。毎月の家賃支払いに苦労している人にとって、その生活はあこがれの「大家ライフ」といったところだ。
 しかし、諦めることはない。誰でも比較的簡単に「大家」になる方法がある。それが、REIT(リート)、Real Estate Investment Trustの略で、「不動産投資信託」と訳されている。
 REITは、たくさんの人からお金を集めてテナントビルやマンションを購入、そこから得られる家賃を、出資比率に合わせて分配するという金融商品の一つだ。不動産会社や金融機関などがとりまとめ役となり、実際の管理・運用を行っている。
 10の店舗がそれぞれ50万円の家賃を支払い、毎月500万円の家賃収入のある、価格10億円のテナントビルがあるとする。REITはこのビルを、例えば1口1000万円で100人の投資家を募集し、共同購入する。単純化のために、毎月500万円の家賃収入がすべて投資家に還元されるとすると、1口当たり毎月5万円、年間で60万円の家賃収入を得ることができるというわけだ。
 実際のお金のやりとりは、REITを運営している会社が行うことから、投資家は株式や債券などの投資と同じように、定期的に「分配金」として家賃を受け取ることになる。1000万円を投資して、年間の分配金が60万円なら、その利回りは年利6%となる。つまり、「不動産投資」といっても、実際には、年利6%の債券を購入する金融取引にほかならないのである。
 毎月、決まった家賃を得ることができるリートだが、リスクもある。
 まず、店子が逃げ出したり、賃貸マンションに空き部屋が発生したりした場合、当然、家賃収入は減少し、分配金も少なくなってしまう。また、不動産価格の変動も影響を与える。購入したビルなどが値上がりすれば、投資価値は上昇する一方で、下落すれば損失が発生する恐れもある。
 こうした要素を反映して、REITは、株式や債券のように日々価格が変動している。東京証券取引所とジャスダックには、2008年9月現在で計42のREITが上場され、株式と同じように売買されているのだ。
 株式投資は、ある企業の株式を購入することで、その企業の共同所有者となり、配当の形でその利益を受け取る。REITも購入対象が不動産である点以外は、株式投資と基本的に同じ。業績によって決められる配当が「家賃」、売買によって決まる株価が「REIT1口の価格」なのである。
 アメリカでは1960年代から始まったREITだが、日本で解禁されたのは2001年のこと。しかしその規模(時価総額)は、08年9月現在で3兆円を超えている。こうしたREITの拡大が、とりわけ都心部の不動産価格の上昇をもたらしたとも言われているのだ。 
「大家も楽じゃないんだよ。店子をきちんと確保しなくちゃいけないし、不動産価格の下落も痛手となるんだから」と、「大家さん」とうらやましがられた知人が漏らす。
 REITも同じだ。誰でも比較的簡単に「プチ大家」になれるREIT。しかし、そのリスクは決して小さくなく、「投資後は左うちわ」というわけにはいかないのである。

著者情報

エコノミスト

玉手義朗

たまて よしろう

1958年生まれ。筑波大学卒。東京銀行、マニュファクチュラース・ハノーバー銀行などで、外国為替取引に携わる。その後、テレビ局で経済部デスクなどを経て、現在はフリー。著書に『円相場の内幕』(1995年、集英社)、『経済入門』(共著、2004年、ダイヤモンド社)がある。

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