原発に代わるエネルギーは実現できる!
吉原毅(城南信用金庫顧問/原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長)
(構成・文/村山加津枝)
ところで、こうした新しい提案に対しては必ず批判というか、私からすれば言いがかりをつけてくる人がいます。
ソーラーシェアリングに関しても、20年後には使用したパネルが大量のゴミになり公害になると言い立てる人が現れました。調べればすぐにわかることですが、ソーラーシェアリングに使用する設備はアルミ、ガラス、シリコン、銅線、鋼管と、材料の種類が少ないのが特徴で、アルミや鋼管は再利用が可能です。
確かにゴミは出ます。しかし十数年で買い換える冷蔵庫やクーラー、浴槽などの家庭から出る粗大ゴミのほうがよっぽど問題です。
さらに言えば、今年(2017年)5月17日に運転を再開した高浜原発4号機は、1985年に運転を開始しており、原発耐用年数を40年と考えれば、十数年後にはもっと大変なゴミ処理が待っていることになります。これは他の原発施設にも言えることで、批判するなら、まずはそちらを批判していただきたいものです。
大きな設備投資をするにあたってはお金の問題もあります。それを後押しするために我々のような金融機関が存在するのです。金融機関といっても大株主の影響力の強い銀行とは違い、信用金庫は会員の出資による協同組織ですから、大手電力会社への忖度は必要ありません。ソーラーシェアリングに興味を持った地方の信用金庫から実証試験場を見学したいという要望が寄せられていることから、CSRの精神が根強いこともわかります。初期投資は大きいですが、ある施設ではすでに年間200万円の売電売り上げがあり、必要経費を差し引いても、10年もあればローンを返済できるだろうと試算しています。
原発のようにハイテクではなく、ローテクなので故障しても簡単に直すことができます。今後モジュールの需要が高まれば、性能はアップしコストは低くなり、参入のハードルはもっと低くなるはずです。
未来に責任を持つのが我々の使命
原自連が発足した2017年4月、ソーラーシェアリング関連の大きなニュースがありました。九十九里浜に面する千葉県匝瑳(そうさ)市で、約3.2ヘクタールのメガソーラーシェアリング施設の落成式が行われたのです。
想定年間発電量は約1424メガワット(20年平均)、一般家庭の平均年間電力消費量を4936キロワットとして試算した場合、約288世帯分の年間電力量を賄えます。結晶系シリコン太陽電池を使うので、二酸化炭素の削減にもなります。
匝瑳市では、「市民エネルギーちば」が、1枚2万5000円のパネルオーナー制を導入するというユニークな形で、2014年にソーラーシェアリングを始めています。福島では県の農村振興課が中心となり再エネ発電モデル事業として7カ所で実施しています。部品が少なくシンプルであることから重機を必要とせず、小規模であれば手作りも可能なことから個人的に設置している人もいます。最近では、秋田県で水田に導入されたことが話題になるなど、用途も広がりを見せ、全国的な展開を見せています。
海外でもケニアのナイロビで、ジョモ・ケニヤッタ農工大学の環境技術研究所が中心になり実証実験を開始しました。太陽光があまりにも強過ぎるアフリカでは砂漠化が進み問題になっていますが、ソーラーシェアリングで遮光し、作物と電気を確保できれば、世界中のエネルギーや食料などをめぐる紛争や、貧困や飢餓も解消されていくことでしょう。ソーラーシェアリングは、原発に代わるエネルギーの確保ができる、未来につながる技術なのです。
今年の夏も暑い日が続いています。またぞろ「原発がないと電気が足りなくなる」とか「料金を上げないといけない」といったアナウンスが聞こえてきそうです。すでに新電力を使っている各官公庁や、自家発電設備を備えた大企業には影響がないかもしれません。しかし我々一般人は、間違った情報に惑わされることなく、本当に必要なものは何かを考えることが必要です。
今を生きる私たちは、未来に責任を持たねばなりません。その使命を果たすためには、省エネにつとめ、原発に代わるエネルギーを推進していくべきなのです。
著者情報
城南信用金庫顧問/原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長
吉原毅
よしわら つよし
1955年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、77年4月に城南信用金庫に入庫。92年に37歳で常勤理事、96年に常務理事になり、副理事長などを経て、2010年11月に理事長に就任。協同組織である信用金庫の原点回帰を打ち出し、様々な改革を実行する。15年6月、60歳で理事長職を退き相談役に。17年6月より現職。主な著書に『原発ゼロで日本経済は再生する』(14年、角川oneテーマ21)、『城南信用金庫の「脱原発」宣言』(12年、クレヨンハウス)、『信用金庫の力――人をつなぐ、地域を守る』(12年、岩波ブックレット)、他に共著も多数。(2017.8)