自民圧勝――国民は何を選択したのか
私たちに求められる「覚悟」
山口二郎(法政大学法学部教授)
「意味不明の選挙→低投票率の選挙→自民党の圧勝」という安倍の思惑にむざむざとはまった日本人は、その政治的リテラシーの欠如を恥じなければならない。国民が諦めや無力感に浸っていれば、権力者は民意の支持を得たと称して、好きなように権力を使うだろう。先に述べた通り、その動きはすでに始まっている。
では、政治的リテラシーをいかにして養えばよいのか。鍵は、選ぶという行為の意味を捉え直すことにある。選挙をよい候補者や政策の選択と定義すれば、よい候補がいないから棄権するという判断に容易につながる。しかし、国民が政治に無関心でも為政者の決めた政策は、棄権者を含めて国民を縛り、大きな影響を与える。原発事故や貧困拡大など政治がもたらす危害を国民が防ぎたいなら、選挙という武器を使うしかない。そこではよいものを選ぶのではなく、最悪の結果をもたらす政党や候補者を勝たせないという基準で投票することが必要となる。日本人はそのようなリアリズムを身に着けられるだろうか。
著者情報
法政大学法学部教授
山口二郎
やまぐち じろう
1958年生まれ。東京大学法学部卒。同大助手、北海道大学法学部教授などを経て現職。著書に『ポピュリズムへの反撃』(角川書店、2014年)、『歴史を繰り返すな』(岩波書店、共著、同年)、『いまを生きるための政治学』(岩波書店、2013年)、『政治のしくみが分かる本』(岩波ジュニア新書、2009年)ほか多数。