カタログの読み方(5) イヤホン&ヘッドホン編
鴻池賢三(DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー)
「iPod」に代表される携帯プレーヤーの爆発的な普及で、音の出口となるイヤホンやヘッドホンにこだわる人も多くなりました。お店には多種多様な製品が溢れかえっていますが、ベストな一台は個々の使い方や用途によって異なります。「音の良しあしの半分を決める」といっても過言ではないイヤホンとヘッドホン。あなたに適した一台は?
方式で迷う? 価格で迷う?
イヤホンとヘッドホンは、方式や装着方法によって、音質、音漏れ、装着感に、それぞれの特色があります。用途や好みを明確にすれば、おのずと適したタイプが見つかります。
*カナル型イヤホン
耳栓式で遮音機能をもちます。騒々しい飛行機や電車の中でも、安定して音楽に集中できるので、音質重視派に人気です。遮音機能により、音量が低くても十分に聴き取れるため、難聴の予防にもなり、周囲に不快な思いをさせる音漏れも皆無です。長時間に及ぶ通勤・通学の電車内での使用を考えるなら、最適な方式と言えましょう。ただし、高い遮音性ゆえに、歩行時には足音がゴツゴツと耳に響くうえ、周囲の音が聞こえづらく危険です。
*インイヤ型イヤホン
耳の穴の口の部分にはめ込むように装着する小型イヤホンで、価格やデザインなど、バリエーションが豊富です。コンパクトで携帯性に優れ、着脱がしやすいため、短時間ごとの電車の乗り継ぎなど、頻繁に着脱の繰り返しが必要となる用途に向きます。一方、遮音性能が低いため大音量になりがちで、難聴を引き起こす心配があると同時に、「シャカシャカ」という音漏れで、周囲に不快な思いをさせることもあると覚えておきましょう。
*密閉型ヘッドホン
耳を覆って密閉し、周囲の騒音を遮音しつつ、音漏れも防ぎます。カナル型イヤホンと同様の効用に加え、音を発生する振動板を大きくすることができるため、低音の再現性に優れます。密閉による独特の「こもり感」は否めない半面、装着の違和感は少ないようで、海外へのフライトなど、騒音下で長時間、携帯性を重視しない用途に向きます。
*開放型ヘッドホン
遮音機能がなく、音漏れもしますが、密閉型のように音がこもらないため、音質がよく、長時間の使用でも違和感が少なくてすみます。宅内などの静かな環境で、長時間にわたって音楽を楽しむような用途に向きます。
「高級=高音質」とは限りません
「とにかく高級品」とお思いの方も多いでしょう。ですが、イヤホンやヘッドホンでは、高級かつ高性能になるほど、音声信号に対して敏感になる傾向があり、「iPod」などの簡易オーディオの場合、機器自体が発するノイズまで聞こえてしまうこともあります。また、録音状況の悪いCDや、大幅に圧縮された音楽データのビットレートの低さ、つまりデータ量の少なさに基づく音質の荒さも如実に分かってしまいます。無闇に高級な製品を信じるのではなく、プレーヤー、自分がよく聞く音楽のジャンル、利用する圧縮方式などとのバランスを考えると、賢い買い物ができます。
気を付けたい、あのコト、このコト
*大音量による難聴には要注意。使用は慎重に!
イヤホンやヘッドホンの大音量・長時間使用がもたらす難聴は、依然として問題です。失った聴力を取り戻すことは難しく、耳に痛みを感じるような使い方は、絶対に避けてください。この点では、騒音を遮断し、小音量でもクリアに音楽が楽しめるカナル型イヤホンが有利です。
*用途によっては、音漏れの少なさを優先
乗り物など公共の場所では、音質うんぬんよりも、周囲へのマナーを第一として、音漏れに配慮したいものです。この点でも、カナル型イヤホンが有利です。
*ノイズキャンセリングは万能ではない
騒音の音波を電気的に打ち消すノイズキャンセリング機能が人気ですが、万能ではありません。飛行機のエンジン音など、連続する低周波には有効なものの、人の声などでは効果が薄いものです。騒音が気になるなら、カナル型イヤホンで遮音するのも一案です。
*ケーブルは、適度な長さで
大は小を兼ねる。ケーブル(配線)は長い方が何かと便利でお得そうですが、イヤホンの場合、長すぎると、さばくのが大変で、継ぎ足しなどで調節できるものがベストです。
*ケーブルの材質も、要注意
ケーブルの材質が硬いと、巻きぐせがついて使いづらいものです。携帯用途で巻き取り収納するなら、要注意です。発泡系の表面素材などを使った、復元力の高い製品もあります。
著者情報
DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー
鴻池賢三
こうのいけ けんぞう
1969年生まれ。大手AV機器メーカ一、米シリコンバレーの半導体ベンチャー企業を経て独立。商品企画・技術コンサルティング業を軸に、情報サイト『All About』をはじめ、新聞、雑誌、テレビなどでアドバイザーとして、また『ビジュアルグランプリ』(音元出版主催)の審査員、日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員を務めるなど幅広く活躍中。日本で唯一のISF認定映像調整技術者でもある。