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4K、8Kは必要か?

高精細映像のハイスペック化を問う

鴻池賢三(DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー)

 テレビの高精細化は、実物を見ているのと同等の感覚が得られるまで続けられるだろう。今、私たちが視聴しているフルHDは、現時点の技術で実現し得る「現実解」に過ぎない。ホームエンターテインメントとして、さらなる高精細化は必要だ。
 しかし、動画圧縮や伝送技術について言えば、現時点では4K、8Kの恩恵を受けるには不十分であり、革新的なアイデアと技術開発が待たれる。「2020年の東京五輪までに放送インフラを整備する」など、期限を優先して現状の技術で無理に推し進めると、価値の見いだせない4Kや8Kができあがってしまう懸念もある。
 4K、8Kという2段階のステップが混乱を招いているのも事実だ。技術面では、4Kを通過点と捉え、8Kを最終目標と考える向きもあるが、カメラ、制作機器、伝送装置など、機材更新が必要な放送事業者にとっては、短いスパンでの膨大なコスト負担は死活問題だ。国策として進めるのであれば、補助金を支出する一方で、得られたノウハウや技術を政府が責任をもって世界に販売し、国益として回収する義務がある。そうした覚悟がなければ、早急な4K化と8K化は「痛み」にしかならないだろう。
 数々の懸念が払拭(ふっしょく)され、より高精細で高画質な放送時代の到来を期待したい。

著者情報

DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー

鴻池賢三

こうのいけ けんぞう

1969年生まれ。大手AV機器メーカ一、米シリコンバレーの半導体ベンチャー企業を経て独立。商品企画・技術コンサルティング業を軸に、情報サイト『All About』をはじめ、新聞、雑誌、テレビなどでアドバイザーとして、また『ビジュアルグランプリ』(音元出版主催)の審査員、日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員を務めるなど幅広く活躍中。日本で唯一のISF認定映像調整技術者でもある。

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