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社会問題

奨学金が日本を滅ぼす!?

再生産不可能社会を招く若者の危機

大内裕和(武蔵大学教授)

 中高年世代による若者バッシングは、困窮する若者をさらに追い込むことになる。行政や経済を動かしている世代がそのような考えを続けているうちは、奨学金の充実を始めとする教育予算の増額や、若者支援策が実行されない。現に2013年の日本の国内総生産(GDP)に占める教育費の公的支出の割合は約3.2%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均4.5%を大きく下回り、比較可能な33カ中32位となっている(12年までは6年連続で最下位)。
 教育は子どもたち一人ひとりの権利であると同時に、将来への重要な投資だ。その投資を怠れば、それは将来のマイナスとなって跳ね返ってくる。奨学金制度の不十分さは「遊びのため」ではなく、「学費や生活費のため」に働くことを強いられる高校生や大学生を大量に生み出している。経済的に厳しくなった学生を痛めつけているのが、近年問題となっている、学生が学生らしい生活を送れなくしてしまうアルバイト、すなわち「ブラックバイト」だ。
 高校生や大学生の多くが、ブラックバイトのため十分な勉強ができなかったり、趣味やサークル、スポーツなどに時間を割くことができなければ、それは必ず将来、労働力や文化活動の質の低下をもたらすことになる。格差もますます広がり、社会を支える中間層がいなくなってしまう。そうなれば、日本社会全体が疲弊・衰退してしまうだろう。
 奨学金を返済できない若者の増加、再生産不可能社会の到来、ブラック企業の蔓延、経済的徴兵制、そして将来の労働力や文化活動の質の低下など、奨学金問題は幅広く深刻な問題をもたらしている。
 奨学金問題を早期に解決しなければ、この社会に未来はない。

著者情報

武蔵大学教授

大内裕和

おおうち ひろかず

1967年、神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得。松山大学教授、中京大学教授を経て2022年度より現職。「入試改革を考える会」代表。「奨学金問題対策全国会議」共同代表。著書に「ブラックバイトに騙されるな」(集英社)、「教育・権力・社会」(青土社)、「ブラック化する教育 2014-2018」(青土社)などがある。

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