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一語千金

日本経済団体連合会

[Japan Business Federation ; Nippon Keidanren]
一流企業の「ゴルフ場」

玉手義朗(エコノミスト)

「ゴルフ場はビジネスの場でもあるんだ」と、毎週のようにゴルフ場に通う、某企業のトップが言う。
 プレーするのは、会社が法人会員権を保有している名門ゴルフクラブ。日本を代表する一流企業のトップたちが会員になっていることから、さり気なく情報交換やビジネスの話をできる貴重な場所だという。
 東京の真ん中にも、大手企業が集まる「ゴルフクラブ」がある。正式名称は「日本経済団体連合会」。「日本経団連」や「経団連」と略される経済団体だ。会員数は1609(2009年5月末現在)、東証1部上場の企業など、日本を代表する企業や業界団体などで構成されている。
 日本経団連の目的は、企業や業界団体などが互いに連携し、経済界(財界)としての意見を集約しながら、経済問題の解決を図ることだ。「景気対策」「規制緩和」「税制改正」などについての提言をまとめ、共同歩調をとると同時に、その実現を政府に働きかけている。
 ライバル関係にある会社同士であっても、自由に意見を交わして、大局的な視点から日本経済全体の利益を考える。大企業が名を連ねる名門ゴルフ場が、日本経団連というわけなのだ。
 日本経団連は、労働問題でも重要な役割を担っている。春闘などの労使交渉の場では、経営者側の代表として「連合」などの労働組合との交渉にあたる。「派遣労働問題」「ホワイトカラーエグゼンプションの導入」といった雇用制度についても、労働組合と協議を行っている。
 日本経団連の会長は、「財界総理」とも呼ばれる重要ポストで、その発言は経済政策を左右するほどの影響力を持つ。その背景にあるのが「企業献金」だ。
 日本経団連は政党(民主党と自由民主党)の経済政策について「政策評価」を実施し、これを会員企業が献金をする際の参考にするように働きかけている。日本経団連の要望に沿った経済政策を行えば、より多くの企業献金が行われることになることから、政党はその提言に耳を傾けざるを得ない(ただし、企業献金に否定的な民主党への政権交代に伴って、日本経団連として企業献金に関与しない方針への転換も検討されている)。
 ある程度以上の腕前や品格ある態度などが求められ、お金があるだけでは名門ゴルフ場のメンバーになれないように、日本経団連の会員企業になるのは容易ではない。原則として上場企業であり、十分な資産や高い企業倫理を持っていることなど、厳しい条件をパスした企業だけが加入を認められるのだ。
 したがって、会員企業が大きな問題を引き起こした場合、その企業には「活動自粛」などの処分が下されることになる。最近では、ライブドアやグッドウィルなどが、企業倫理に反する行為を行ったとして、活動自粛処分を受けている。名門ゴルフクラブの品位を落とす会員は「出入り禁止」というわけだ。
 経済団体にはこのほか、日本商工会議所と経済同友会という二つの大きな組織があり、日本経団連と合わせて「経済三団体」と呼ばれている。
 日本商工会議所は、中小企業などを中心とした組織だ。一方、経済同友会は企業ではなく経営者が「個人」として参加しているもの。企業の枠組みを取り去り、1人の経営者として、より自由な観点から政策提言を展開している。 
 東京の大手町にある日本経団連のビルは巨大で、その力を象徴するものだ。大企業の利益を優先させているといった批判もある日本経団連だが、経済界が結束して問題を解決していく上で、欠くことのできない存在なのである。

著者情報

エコノミスト

玉手義朗

たまて よしろう

1958年生まれ。筑波大学卒。東京銀行、マニュファクチュラース・ハノーバー銀行などで、外国為替取引に携わる。その後、テレビ局で経済部デスクなどを経て、現在はフリー。著書に『円相場の内幕』(1995年、集英社)、『経済入門』(共著、2004年、ダイヤモンド社)がある。

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