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「ロスジェネ」と名付けられて20年 ~アラフィフになった氷河期世代

雨宮処凛(作家、活動家)

「年金があるじゃないか」という人もいるだろう。しかし、私は20歳から一度も休まずきっちり年金保険料を納めているが、もらえる額は満額で月に6万円台。

 現在、東京の家賃は高騰を続け、単身者向けでも10万円というのが相場だ。6万円では家賃も払えない。なんとか6万円以下の物件があったとしても、この年金額では飲まず食わずなので早晩餓死する計算だ。

 先ほど社会保障制度が時代に合っていないことに触れたが、国民年金はもともと持ち家があることが前提で設計されている。それだけではない。子どももいて蓄えがあることも前提だ。が、十数年後、子もなく貯金も持ち家もない高齢者が激増するわけだ。これが時限爆弾でなくてなんなのだろう。

 しかもこの国では、高齢者は圧倒的に賃貸物件を借りづらい。孤独死が忌避されているからだ。

 と、考えるほどに問題は山積みだが、「ロスジェネ」という言葉が生まれた時、私は30代前半。

 当時は貧困問題に関わり始めた頃だったが、就職氷河期で割を食ったこの世代に安定雇用を求めて政治に働きかけていた。

 今ならまだ若いから、これから正規雇用につければもっと活躍できて社会にも貢献できる、望む人は結婚・出産もできる上、それは少子化の改善にも繋がる――。政治家が動きやすいよう、そんなふうに訴えたりもした。そんな未来は国にとってもロスジェネにとってもウィンウィンのはずだった。

 それだけではない。日本経済にとっても、社会保障の持続可能性という面でも、エアポケットに落ちてしまったようなこの層を支援しない理由はひとつもなかった。

 しかし、なぜか政治はロスジェネを放置した。

 そうして、長い長い時間が経った。ロスジェネが30代後半になり、40代になっても政治は「自己責任」と突き放すだけで手を差し伸べなかった。

 国がやっと重い腰を上げたのは、2019年。「就職氷河期世代支援プログラム」と銘打ち、氷河期世代の正規雇用者を3年間で30万人増やすという目標を掲げたのだ。

 が、当事者から上がったのは「すでに手遅れ」「10年遅い」「いや20年」という嘆きの声だった。

 そんなプログラムも20年からのコロナ禍で苦戦。延長されたものの、増えた正規雇用者は11万人にとどまった。

 そうして、現在。

 吉川議員の質問に答えて、高市首相は「今年4月に新たな支援プログラムを取りまとめた」と言い、これまでの就労や処遇改善、社会参加に向けた支援に加え、家計改善、資産形成、住宅確保などの高齢期を見据えた三本柱に沿って取り組むと答えた。が、ロスジェネでそれを知っている人はどれくらいいるだろう?

「資産形成」という言葉が虚しく響く。が、住宅確保は最速で進めてほしい。どれほどの実効性があるのかは未知数だが、何もないよりはいいだろう。

 ということで、来年は、ロスジェネ・氷河期について積極的に発信していく。ぜひ注目してほしい。

著者情報

作家、活動家

雨宮処凛

あまみや かりん

1975年、北海道生まれ。反貧困ネットワーク世話人。バンギャ、フリーター、右翼活動家などを経て2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。2006年からは貧困問題に取り組み、『生きさせろ! 難民化する若者たち』(2007年、太田出版/ちくま文庫)は日本ジャーナリスト会議のJCJ賞を受賞。著書に『学校では教えてくれない生活保護』(‎河出書房新社、2023年)、『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書、2024年)など多数。

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