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性売買を「景観」の問題にしてよいのか ~売春防止法の保護法益を問う

仁藤夢乃(社会活動家)

 元教員で現在はColaboで活動するスタッフも、学校現場で見てきた実態について話した。教員として勤務していた頃、性売買に関わる生徒への対応では、多くの男性教員が「生徒指導」という感覚で、「これは被害であり、女子生徒は性的搾取の被害を受けている」ということを教員同士で確認しなければ、その前提が共有されない状況があったという。学校では、性売買に関わった女子生徒が転学や退学などの進路変更を勧められることもあったと振り返った。

 子どもたちが人権や尊厳について考える機会が少ないまま育っており、人を客体化して消費することへの抵抗感が育ちにくいことや、「推し活」の延長のような感覚で、人に多額のお金を使うことが当たり前になっている状況についても指摘した。

 ホテル街で出会う少女の中には、メンズコンカフェの男性店員とゲームセンターへ行くために数十万円を支払うことを「当然」と受け止めている人もいたと話した。

 そのうえで、人権や尊厳について学ぶ教育を充実させることに加え、買春者への働きかけも含め、社会全体の人権意識を変えていく必要があると訴えた。

 当事者、支援者、教育者、自治体議員などの立場から少女や女性たちと関わる私たちが見てきた現実は、性売買を「景観」や「風紀」の問題ではなく、女性の人権と尊厳の問題として捉え直さなければならないということだ。

 目指すべきなのは、女性たちを路上から排除して性売買を見えなくすることではなく、性売買を生み出す構造を変え、性売買をしなくても生きていける社会をつくることだ。そのためにも、売春防止法の保護法益を見直し、女性の人権と尊厳を守る法制度への転換が求められている。

著者情報

社会活動家

仁藤夢乃

にとう ゆめの

1989年生まれ。中高時代に街をさまよう生活を送った経験から、10代女性を支える活動を行っている。これまでに夜の街でのアウトリーチ、シェルターでの保護や宿泊支援、シェアハウスでの住まいの提供といった活動を展開。第30期東京都「青少年問題協議会」委員。厚生労働省「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」構成員を務めた。TBS「サンデーモーニング」にコメンテーターとして出演中。著書に『難民高校生』(英治出版)、『女子高生の裏社会』(光文社新書)。

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