性知識イミダス:女性の更年期について知ろう~(後編)上手に更年期を過ごすためのヘルスケア
イミダス編集部
(構成・文/加藤裕子)
(前編からのつづき)
更年期の心身の変化についていけず、悩む女性も少なくない。中には、仕事や家庭に影響が出るほど症状が重いのに、周囲の無理解に苦しむケースもある。少しでも更年期を楽に過ごすために知っておきたい治療の選択肢、更年期前から気をつけたいこと、閉経後のヘルスケアなどについて、産婦人科医でよしかた産婦人科院長の善方裕美先生にうかがった。

善方裕美医師(産婦人科)
- じっくり問診してから治療を選択
- 自分に合う治療やケアを見つける
- 「プレ更年期」と「ポスト更年期」のヘルスケアのポイント
- 更年期の症状がつらいときの考え方
じっくり問診してから治療を選択
前提としてお伝えしたいのは、更年期のつらい症状は「この薬を飲めば1週間で良くなる」というようなものではないということです。前編でもお話ししましたが、原因が複雑に絡み合うことも多いですし、複数の症状が出る人も珍しくはありません。それを解きほぐすためには、問診とカウンセリングが治療の要となります。私の場合は、まずじっくりとお話をうかがい、ものの見方や家庭・職場の改善ポイントなどを専門家として一緒に考えながら、つらい症状を和らげる方法を探っていきます。抱えている問題も目指すゴールもひとりひとり違い、どうしても時間がかかりますので、治療は長い目で考えていただければと思います。

ただ、乳がんや心筋梗塞などにかかっている、もしくはかかったことがあると、ホルモン補充療法を使えないケース(「禁忌」)もありますので、事前の検査は必須です。子宮筋腫、子宮内膜症、肥満、片頭痛等がある人は「慎重投与」の対象ですが、これは絶対に禁止ということではなく、様子を見ながら投与すればOKという意味です。
また、閉経後10年以上経過しているとホルモン補充療法による血栓症のリスクが上がるため、閉経後になるべく早めに開始するのがベストです。
ホルモン補充療法をやめるタイミングについては特に定められておらず、私の患者さんの中には70代になっても続けている方もいます。いきなりストップすると更年期症状が再発することもありますので、医師と相談しながら減らしていきましょう。

自分に合う治療やケアを見つける
漢方薬はドラッグストアで購入することもできます。医療機関で処方されるものより有効成分量が少なく、保険が効かない分、割高ですが、病院に行く前にいろいろ気軽に試せるのがメリットです。受診時に「この漢方薬を飲んだら効果があった」と伝えてもらえれば、同じものを処方できます。保険適用にはなりませんが、漢方薬局でさらに専門的に相談に乗ってもらう選択肢もあります。
大豆イソフラボンは納豆、豆腐、豆乳などの大豆食品に含まれていますが、たくさん大豆食品を食べればエクオールを産生できるとも限りません。日本人のうち、エクオール産生菌が腸内で働いている人は約50%と言われており、若い世代ではその割合はさらに低くなっているという研究もあります。そこでサプリメントの出番となるわけですが、値段やメーカーもいろいろで、どう選べばよいのか、迷ってしまう人もいるかもしれません。ポイントは質の良いエクオール産生菌で作られているかどうかで、その点、医療機関で扱っているメーカーの製品であれば信頼できると思います。
その他、皮膚のトラブルには軟膏やクリーム、よく眠れない人には睡眠導入剤を処方することもあります。尿漏れには腟周辺の筋肉を鍛える骨盤底筋トレーニングが効果的で、更年期以降はぜひ習慣づけてほしいです。
骨盤底筋トレーニング法(骨盤底筋=子宮などの臓器を支えている、女性の陰部周辺と腟周辺の筋肉の総称)
①両膝を立て、あお向けに横たわる
②息を吐きながらお尻を上げ、お尻を締めながら10秒くらいかけて息をゆっくり吐く
③息を吸って、お尻を床につけて緩める
①~③を5回ほど繰り返す
(『女医が教える閉経の教科書』参照)