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連載

外国人を人間と見なさない「入管」の根源を問う

第24回

木村元彦(ノンフィクションライター、ビデオジャーナリスト)

 この教材で教育された世代は現在、45歳から60歳でまさに入管の中枢に当たる。「日本は単一民族国家」「日本人だけで国に仕上がっている」「外国人を招き寄せて調和のとれた環境を破壊することは避ける」などと教え込まれた人々が管理職となっているのならば、部下たちもまた指導され、影響を受ける。収容された外国人を人間扱いしない体質になるのも当然と言えようか。

 私は入管の非道極まるふるまいが情報として飛び込んでくる度に、ひとりの若い職員を思い浮かべる。3年ほど前、元東京入管局長の坂中英徳氏から「入管局若手職員バーベキュー懇親会」に招かれたことがあった。20代前半の職員ひとりひとりにインタビューを敢行すると、皆、法務省の試験に合格し、入管局を希望して配属されたことを誇りに思っていた。中に一人、司法試験も受かっていたが、「外国人の人権問題に取り組みたいと思って入管を選びました」という女性がいた。関西の出身という彼女は、自分の暮らす地域に日系ブラジル人が暮らすコミュニティがあり、その人たちの苦境を見て職業を選んだと言う。「それなら弁護士を選ぶべきでは?」と問うと「弁護士ももちろん素晴らしい職業です。でも基本はクライアントしか救えない。入管ならば多くの外国人を救えると考えたのです」と言った。今、彼女はどこで何を思っているだろうか。ウィシュマさんのニュースをどう聞いたのだろうか。誇れる入管になるために何かしているだろうか。あのバーベキュー懇親会には“アイヒマン”しかいなかったとは思いたくない。

著者情報

ノンフィクションライター、ビデオジャーナリスト

木村元彦

きむら ゆきひこ

1962年、愛知県生まれ。中央大学卒業。東欧やアジアを中心に、スポーツ文化や民族問題などの取材、執筆活動を続ける。著書に『誇り』(98年、東京新聞出版局)、『悪者見参』(2000年、集英社)、『終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ』(05年、集英社新書)、『蹴る群れ』(07年、講談社)、『社長・溝畑宏の天国と地獄』(10年、集英社)、『争うは本意ならねど』(11年、集英社インターナショナル)、『徳は孤ならず』(16年、集英社)、『橋を架ける者たち』(16年、集英社新書)、『無冠、されど至強』(17年、ころから)、『コソボ 苦闘する親米国家 ユーゴサッカー最後の代表チームと臓器密売の現場を追う』(23年、集英社インターナショナル)など多数。『オシムの言葉』(05年、集英社インターナショナル)で第16回ミズノ・スポーツライター賞を受賞。

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