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性知識イミダス:女性の更年期について知ろう~(後編)上手に更年期を過ごすためのヘルスケア

イミダス編集部

(構成・文/加藤裕子)

「プレ更年期」と「ポスト更年期」のヘルスケアのポイント

 ――更年期にはいつ頃から備えておくとよいのでしょうか。更年期症状を軽くするために、事前にできることはありますか。

 卵巣機能の衰えが始まる30代後半ぐらいから「プレ更年期」と考えて、更年期に備えるとよいと思います。何か特別なことをするというより、食事・運動・睡眠という生活習慣を整えることが大事で、これは一般的な病気予防にも通じることですね。
 まず食事については、栄養バランスがよく適切な量の食事が基本中の基本です。一人暮らしだとついおろそかになりがちですので、プレ更年期を見直しのきっかけにしてほしいと思います。ジャンクな食べ物やお酒の過剰摂取も、そろそろやめ時でしょう。積極的に食べたいのは大豆食品です。エクオール産生菌が腸内ではたらいている人にとっては、エストロゲンを補うのに役立ちますし、そうでない人でも低カロリーかつタンパク質やカルシウムが豊富というメリットがあります。骨の健康のためにはカルシウムやビタミンDも重要で、無理なダイエットは骨にも悪影響があるのでやめましょう。また、40代後半以降は下半身の筋肉が急に減っていきますので、筋肉を作るタンパク質もしっかり摂ってください。
 もともと運動習慣がある人は更年期障害になりにくいという報告もありますので、プレ更年期には運動習慣もつけてほしいです。筋肉を落とさないよう、隙間時間にスクワットや筋トレをしたり、できるだけ歩いたりするなど、生活の中でやれることを心がけてみてください。また、PMS(月経前症候群)がある人は更年期の症状が出やすいと言われていますので、ヨガのような心身を整える運動を取り入れるのもよいでしょう。
 良質な睡眠には、夜間の灯りをムーディな暖色系にし、ベッドに入る1~2時間前からだんだん暗くしていくと効果的です。温度や静けさ、暗さなど眠りに適した寝室の環境を整え、眠くなったらベッドに入るよう、心掛けましょう。深夜まで仕事をしたり、徹夜したりする習慣があるなら、少しずつでも減らしていくとよいですね。
 

 ――更年期が終わったあとのヘルスケアでは、どのようなことを意識すればよいでしょうか。
 食事・睡眠はプレ更年期と同じですが、閉経から10年以上経った「ポスト更年期」の運動については、少し注意が必要です。「まだまだやれる!」と自分の体力を過信すると、負荷を与えすぎて関節に負担がかかったり、何かの拍子に転んでしまったりと、思わぬ怪我につながってしまいます。例えば、日本整形外科学会が推奨している「ロコトレ」というトレーニングは、片脚立ちやスクワットなど体力がない人でも簡単に続けられるもので、ポスト更年期にもぴったりだと思います。
 閉経後に気をつけたい病気のひとつが骨粗鬆症です。骨量が最大になるのは20歳頃で、更年期にエストロゲンが減ると、骨量は急激に減少します。今の自分の骨の状態を把握するために、できれば医療機関で骨密度を測定しておくとよいでしょう。骨粗鬆症の検査ができる医療機関は「骨検」というサイト(https://honeken.jp/)から調べることができます。もし自分の骨密度が低いとわかったら、婦人科や整形外科で、食事・運動療法の相談や、骨量が低下する速度を緩やかにする薬の処方を受けることが可能です。骨粗鬆症の骨折を起こしてしまう前に、骨の健康を守れるように、しっかりケアしましょう。また、更年期を境に高血圧、脂質代謝異常などの生活習慣病のリスクも高まりますので、年1回の健康診断をきちんと受けることも大事です。

更年期の症状がつらいときの考え方 

 ――更年期になると、「あれもこれも前のようにはできなくなった」「もう自分は若くないんだ」と暗い気持ちになることも多いです。

 果たして、若いことは絶対的に良いことなのでしょうか。せっかく更年期まで積み上げてきた多くの経験を、巻き戻してしまうなんてもったいないです。更年期に入るまでに過ごしてきたご自身の人生の歩みを、たっぷり褒めてあげてほしいです。そして、『よく頑張ってるね』と自分の身体をいたわってあげましょう。
『論語』には、「五十にして天命を知る」という有名な一節がありますが、今まで多くの経験を重ね、人生を歩んできた道のりがあるからこそ、天命に至ることができるということ。更年期は人生を慈しむタイミングであると考えて、肯定してほしいです。もちろん、体力は落ちますし、思ったように体が動かないと感じることが多いでしょう。でも、積み上げてきた人生経験から、「直感」や「察知」の感度は上がると思います。社会の仕組みや道理について、時間をかけて身につけてきたからこそ、直感や察知は鋭くなり、年齢を重ねても人は成長し続けていくのです。ご自身の身体をいたわり、メンテナンスしながら、ハイスピードではなく、ゆったりと味わうことができる時間を過ごしていきましょう。
 

 ――前編の中で「環境要因」「心理的要因」としてお話しいただいたように、更年期の女性は家庭でも職場でも忙しさが増し、責任がより重い立場になることも多いです。「前以上に頑張らないと」とプレッシャーを感じる人もいるのではないでしょうか。

 そういうときは、ひとりで何もかも抱えないことですね。「あれもこれも全部自分でやらないといけない」と思い込むと苦しくなるばかりですので、自分にしかできないタスクを整理し、それ以外を手離していくことで、楽になる面も大きいと思います。「20~30代の70%程度で十分」と考え、「人にもタスクを任せつつ総合的な成果を挙げられるのは、経験を積み重ねてきたからこそできること」と、胸を張りましょう。
 今の50代以上の女性は家事や介護を誰かに頼むことに罪悪感を抱きがちですが、もっと他の家族やプロの手を借りてみてもよいと思います。職場で重要な仕事を任されているなら、部下に任せる部分を増やしてみてはどうでしょうか。近年は、経済産業省が「女性の更年期症状による社会の経済損失は約1.9兆円」と発表したこともあり、更年期の女性社員をサポートする動きも出てきています。ウェルビーイングを大切にする健康経営が意識される時代ですから、企業の相談窓口を活用したり、サポート体制の整備を求めたりすることもできるのではないかと思います。
 残念ながら、更年期の女性の不調を軽く見たり、揶揄したりする雰囲気も残っています。周囲が更年期のつらさをなかなか理解してくれないときは、自分がどれだけつらいのか、はっきり言葉で伝えることも大事です。自分ではうまく言えないなら、かかりつけの医師を頼ってください。家族の方に一緒に診察に来てもらえれば詳しく説明できますし、職場に「更年期障害の治療中なので、職場環境を改善してほしい」などと意見書を出すこともできます。
 

 ――人によっては、「自分がやりたい」という気持ちで、更年期の不調を我慢しながらつい頑張ってしまうこともあるかもしれません。
 そのように、必死になってしまう方、結構いらっしゃいます。しかし、不調を我慢しながら無理を続けていると、思わぬミスが出たり、体がついていかなかったり、幸せな時間を過ごしているとは言えない状況になりかねません。いくら「自分がやりたい」と思っていたことだとしても、最終的に後悔することになるのなら、そろそろ気持ちを切り替えるタイミングなのかもしれません。
 更年期の症状に悩む女性は真面目な頑張り屋さんが多いですから、ふっと息を抜く時間も意識してほしいですね。家庭でも職場でもない、いわゆる「サードプレイス」を見つけることはとても大事です。何か夢中になれる趣味や推し活もいいですし、更年期について「自分はこんなに大変」「あなたはどう?」と友達同士でおしゃべりするのも楽しいですよ。「更年期」を「幸年期」にするために、上手にセルフケアして過ごしていきましょう。

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イミダス編集部

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