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連載

福島を語る

原発と基地がもたらす分断の傷

三浦英之×阿部岳 前編

三浦英之(新聞記者、ルポライター)

阿部岳(沖縄タイムス記者)

三浦 福島は、僕にとっては分断の現場でした。分断の原因となっているのは、一つはお金です。賠償金の有無や金額の違いが、住民の絆と心をズタズタに引き裂いてしまった。さらに、帰れる地域と帰れない地域が生まれた。被害にあった人たちがそうやって細分化されてしまって、お互いに睨み合うようになってしまった。それが、福島を本当に不幸に陥れたと思っています。

阿部 分断するというのは、統治の一つの手法です。沖縄の場合は、名護の漁師さんが辺野古の海の漁業権を放棄するために数千万円の補償金をもらっていて、突然いい車を買ったりする。あるいは、名護市の「辺野古」など3つの行政区には、地元として補助金がたくさん入ってくるけれども、同じ東海岸でもそれ以外の10の行政区にはほとんど入ってこない。そうやって沖縄でも政府が分断を助長しています。

三浦 辺野古とかで座り込んでいるおばあちゃんを、沖縄出身の警察官が強制的に排除するという映像を見たとき、心を踏みつけられたようにつらかった。排除する警察官に向かって、「あんた、うちなーんちゅでしょう」「恥ずかしくないのか」と言うでしょう?

阿部 お姉さんが座り込んだら、弟が排除に来るということも実際にあります。お互いに話さないけど、「あんた、何してるの」と目で訴えていたりする。記者として「警察がやってることはおかしい」と批判したとしても、警察官個人にはなんの恨みもないから、警察官個人を責める気にはなりません。座り込んだりしている沖縄のおばあさんたちも、「あんたたちは正義感があって警察官になったんだから、こんなことをさせたくない」とか「戦争に行くのは私たちじゃなくて、あなたの世代だからね」ということを語りかけたりする人もいる。本当の敵は、沖縄県民同士ではなくて、クーラーが利いた官邸の中にいるので、そこは見誤らないようにしないといけないと思います。

(後編へつづく)

著者情報

新聞記者、ルポライター

三浦英之

みうら ひでゆき

1974年、神奈川県生まれ。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で第13回開高健ノンフィクション賞、『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(布施祐仁氏との共著)で第18回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で第25回小学館ノンフィクション大賞、『南三陸日記』で第25回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞、『帰れない村 福島県浪江町「DASH村」の10年』で2021年LINEジャーナリズム賞、『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』で第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞、第22回新潮ドキュメント賞を受賞。

沖縄タイムス記者

阿部岳

あべ たかし

1974年、東京都生まれ。名護市民投票の1997年に沖縄タイムス入社、以来基地問題を中心に取材を続ける。著書に『ルポ沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実』(朝日新聞出版、2017年)

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