原発と基地がもたらす分断の傷
三浦 福島は、僕にとっては分断の現場でした。分断の原因となっているのは、一つはお金です。賠償金の有無や金額の違いが、住民の絆と心をズタズタに引き裂いてしまった。さらに、帰れる地域と帰れない地域が生まれた。被害にあった人たちがそうやって細分化されてしまって、お互いに睨み合うようになってしまった。それが、福島を本当に不幸に陥れたと思っています。
阿部 分断するというのは、統治の一つの手法です。沖縄の場合は、名護の漁師さんが辺野古の海の漁業権を放棄するために数千万円の補償金をもらっていて、突然いい車を買ったりする。あるいは、名護市の「辺野古」など3つの行政区には、地元として補助金がたくさん入ってくるけれども、同じ東海岸でもそれ以外の10の行政区にはほとんど入ってこない。そうやって沖縄でも政府が分断を助長しています。
三浦 辺野古とかで座り込んでいるおばあちゃんを、沖縄出身の警察官が強制的に排除するという映像を見たとき、心を踏みつけられたようにつらかった。排除する警察官に向かって、「あんた、うちなーんちゅでしょう」「恥ずかしくないのか」と言うでしょう?
阿部 お姉さんが座り込んだら、弟が排除に来るということも実際にあります。お互いに話さないけど、「あんた、何してるの」と目で訴えていたりする。記者として「警察がやってることはおかしい」と批判したとしても、警察官個人にはなんの恨みもないから、警察官個人を責める気にはなりません。座り込んだりしている沖縄のおばあさんたちも、「あんたたちは正義感があって警察官になったんだから、こんなことをさせたくない」とか「戦争に行くのは私たちじゃなくて、あなたの世代だからね」ということを語りかけたりする人もいる。本当の敵は、沖縄県民同士ではなくて、クーラーが利いた官邸の中にいるので、そこは見誤らないようにしないといけないと思います。