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南スーダンに派遣される自衛隊は大丈夫なのか

カンボジアPKOとは大きく異なる現代PKO

伊勢崎賢治(東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授)

布施祐仁(ジャーナリスト)

伊勢崎 今ほどニーズがある時はないでしょう。軍事監視団は、多国籍の将官クラスの軍人が非武装で敵対勢力の懐の中に入り込み、敵対勢力との交戦を未然に防ぐべく信頼醸成を進めるのです。
 PKOのミッションでは必ず軍事監視団が存在します。もちろん南スーダンにもあります。PKO全体が好戦的になってきた中で、敵対勢力が唯一、撃たれる心配をしないで対話ができるのが軍事監視団です。これをやるには中立性が非常に重要なので、利害関係のある周辺国ではできません。日本はこれまで、カンボジアとネパールの監視団に非武装の自衛官を派遣してきました。でも、日本ではメディアも誰も拍手してあげないから話題にならない(笑)。
 PKFと違って国境を越えて活動できるのも軍事監視団の特徴です。あの辺だと南スーダンと中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国が3大PKOホットスポットになっています。国連はあれを一つの地域として考えています。そもそも、あの辺の国境なんて、植民支配で勝手に引かれたものです。民族は国境を跨(また)いでいるのです。ほとんどの武装勢力は、部族ごとのまとまりがある。国境を越えて活動しているのです。だから、PKOの中で唯一その権限のある軍事監視団の要員が、頻繁に国境を行き来して、交戦予防と信頼醸成のために働くのです。
 そもそも国連は紛争を防ぐためにあり、紛争解決のために武力を行使するのは最後の手段です。軍事監視団は、「平和国家」としてのイメージを生かして紛争の予防や仲裁などに貢献できる、最も日本に向いていて存在感を示せる活動だと思います。

著者情報

東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授

伊勢崎賢治

いせざき けんじ

1957年、東京都生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。インドに留学中、現地スラム住民の居住権をめぐる運動に関わる。国際NGOで10年間、アフリカの開発援助に従事。2000年より国連PKOの幹部として、東ティモールで暫定行政府の県知事を務め、2001年よりシエラレオネで国連派遣団の武装解除部長。2003年からは、日本政府特別代表としてアフガニスタンの武装解除を担った。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。著書に『武装解除 紛争屋が見た世界』(講談社現代新書、2004年)、『本当の戦争の話をしよう 世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社、2015年)など。共著に『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿』(集英社クリエイティブ、2017年)など。イミダスの連載「伊勢崎賢治・布施祐仁に聞く『日米地位協定と主権なき日本』」はこちら!

ジャーナリスト

布施祐仁

ふせ ゆうじん

1976年、東京都生まれ。『ルポ イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』で平和・協同ジャーナリスト基金賞、JCJ賞を受賞。三浦英之氏との共著『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。著書に『日米密約 裁かれない米兵犯罪』『経済的徴兵制』、共著に『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿』などがある。
イミダスの連載「伊勢崎賢治・布施祐仁に聞く『日米地位協定と主権なき日本』」はこちら!

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