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サイエンス

「安全な原発」の輸出で日本は潤うのか?

原発輸出外交でこの国が得るもの、失うもの

布施祐仁(ジャーナリスト)

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)

圧力と懐柔の構造も輸出することになる

 ――トルコでもベトナムでも建設予定地になっているのは、農業や漁業といった第一次産業以外の産業がなくて、若者の雇用がないような過疎地です。ここでも日本と同じような構図があるように思います。

 経済的に困窮して、何とか生き延びようとする所が狙い打ちにされて、原発を押し付けられる。原発が来てくれて金になるなら、というふうに思う人もまたいるわけです。日本もずっとそうでしたし、おそらく世界中どこでもそうなのでしょう。

 ――ベトナムでは、インターネット上で原発建設に反対する署名運動をしていた人が、国から圧力をかけられ、サイトを閉じさせられたということもあったそうです。

 日本もそうでした。最初は米国から原発を導入して、たくさんの金や利権が動き、反対した住民はつぶされていったわけです。そうした動きはどこの世界でも起きてきたし、今でも程度の差はあっても同じことが行われていると思います。

原発輸出は代償のほうが大きい

 ――原発輸出ビジネスを推し進めて、日本は何を得て、その代償は何だと思いますか?

 金を得て、国際的な信用を失うでしょう。
 1基輸出すれば5000億円は入るわけですから、金儲けはできると思います。でも、私は、小さなことを言っていると思うのです。現在、日本の原子力産業は2兆円規模です。その収益がなければ日本の経済は崩壊してしまうと言っているわけですが、たとえばパチンコ産業などは20兆~30兆円規模の産業です。それと比較しても、原子力など瑣末な部類にしかならないわけです。そのようなものを捨てたとしても、なんということはありませんし、原子力がなくなったら日本の経済が崩壊するなど、あり得ません。
 さらに、今回の福島第一原発のような事故が起きたら、何十兆円かかるかわかりません。私は福島第一原発の事故の収束にかかる予算は、100兆円でも足りないと思います。しかし、現実に原発事故は起きてしまうわけですから、2兆円や3兆円などと、つまらないことを言わないでほしいと思います。
 それに比べて、国際的に失う信頼はとてつもなく大きいと思います。日本人はある時期、世界から「エコノミックアニマル」と呼ばれていましたが、米国の腰巾着のようになって、ひたすら金儲けのために原発を輸出していったら、世界の人々からますます信頼を失うでしょう。

著者情報

ジャーナリスト

布施祐仁

ふせ ゆうじん

1976年、東京都生まれ。『ルポ イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』で平和・協同ジャーナリスト基金賞、JCJ賞を受賞。三浦英之氏との共著『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。著書に『日米密約 裁かれない米兵犯罪』『経済的徴兵制』、共著に『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿』などがある。
イミダスの連載「伊勢崎賢治・布施祐仁に聞く『日米地位協定と主権なき日本』」はこちら!

元京都大学原子炉実験所助教

小出裕章

こいで ひろあき

1949年生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒、同大学院修了。74年から現職。伊方原発訴訟住民側証人。原子力研究の現場から原子力廃絶をうったえる異端の研究者とされてきたが、福島第一原発事故の際に発信し続けた的確な分析と警告が多くの人々の信頼を得て、一躍時の人となった。著書に『原発のウソ』(扶桑社新書、2011年)『隠される原子力 核の真実』(2011年、創史社)など。『imidas』では、1997年版から「原子力」分野の執筆を担当。

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