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6月決戦!新生なるか岡田ジャパン

もっとサッカーを楽しもう!(7)

大住良之(サッカージャーナリスト)

 日本代表が重要な局面を迎える。2010年南アフリカ大会を目指すFIFAワールドカップアジア3次予選の4試合が、08年6月2日(月)から22日(日)までの間に集中して行われるからだ。しかもそのうちの2試合は、オマーン、タイという過酷な環境でのアウェー連戦となる。

簡単ではない3次予選通過

 オマーン、タイ、バーレーンと日本の4チームで組むグループ。2位以内にはいれば08年9月にスタートする4次予選(アジア最終予選に相当)に進出することができる。2月に予選がスタートする前には「4次予選進出はだいじょうぶだろう」という空気があり、それは1勝1敗で迎えた「6月決戦」の前にも同じように存在する。しかし私はそう簡単な話ではないと思っている。
 現時点で優位に立っているのは2勝のバーレーン。これを1勝1敗の日本とオマーンが追っている。タイは2敗で最下位だ。6月決戦は、まず日本対オマーン、そしてタイ対バーレーンの連戦で始まる。同じ組み合わせで、ホームとアウェーで1試合ずつ行うという形だ。ここで日本とバーレーンが連勝すれば、その時点でバーレーンの勝ち抜きが確定し、日本もほぼ確実となる。だが4チームの力を見れば、そうなる可能性は低い。

侮れぬタイのサッカー

 バーレーンはアウェーでオマーンに勝ち、ホームで日本を下した。しかし圧倒的な力があるわけではない。タイは2敗だが、最初は2月の日本の寒さに対応できず、2試合目は開始直後に失点し、残り時間は圧倒的に攻めながらオマーンに逃げ切られた。ACL(アジアチャンピオンズリーグ)で、ガンバ大阪をホームでもアウェーでも苦しめたチョンブリFCの戦いぶりを見れば、タイのサッカーがここ数年で大きく変わり、最大の弱点だったフィジカル面(体の大きさ、パワー)の課題を克服していることがわかる。バンコクでの初戦でタイがバーレーンに勝つ可能性は十分ある。

オマーンの堅守とマスカットの酷暑

 日本とオマーンの対決も甘くみることはできない。オマーンは初戦、ホームでバーレーンに0-1で屈したが、試合内容は互角だった。2006年ワールドカップのアジア1次予選で中村俊輔のPKをストップし、日本を苦しめたGKアリ・アルハブシを中心とした守備の固さには定評がある。
 日本とオマーンの対戦は、どちらも「1勝1分け」を狙うことになるだろう。直接対決で優位に立てば2位通過が見えてくるからだ。ワールドカップ予選では、同勝ち点の場合、全試合の得失点差、総得点数で順位をつける。直接対決の結果が影響を及ぼすのはその次になるが、1勝1分けなら相手に勝ち点3差をつけられるので大きい。
 当然、オマーンは6月2日の横浜では引き分け狙いでくる。守備を固め、日本にゴールを割らせないことに集中する。そして6月7日のマスカットでの対戦で、日本をたたこうとするだろう。マスカットの6月は気温が40度になるという。キックオフは現地時間で17時15分(日本時間22時15分)。まだ日中の暑さは去らず、日本を苦しめることになるだろう。

最大の課題は“得点力”

 日本としてはホームでオマーンに勝つことが3次予選突破の大きなカギとなる。岡田武史監督率いる日本は、3月のバーレーン戦では狙いとする戦いができず、0-1で敗れた。2月のタイ戦は4-1で勝ったものの、3得点はリスタートを生かしたものだった。5月中旬まで行われたJリーグでも、FWで好調だったのは大久保嘉人(神戸)ひとり。エースになるはずの高原直泰(浦和)はまだフィットしていない。勝つためには得点が必要だが、その得点力が現在の最大の問題だ。
 大きな希望は、中盤に3人の「ヨーロッパ組」が加わったことだ。岡田監督になってから、ヨーロッパ組が合流するのは初めてのこと。MF中村俊輔(セルティック)、MF松井大輔(ルマン→サンテティエンヌ)、MF長谷部誠(ウォルフスブルク)。中村俊は言わずと知れたパスとFKの名手。豊富な経験をもち、岡田監督も合流を心待ちにしていたはずだ。松井はドリブル突破を得意とするチャンスメーカー、そして長谷部は攻撃力をもつボランチ。中盤は日本のサッカーで最も豊富な人材をかかえるポジション。競争の激化はチームのレベルアップに大きなプラスになる。
 もうひとつ、大きなプラスはDF田中マルクス闘莉王(浦和)の合流だ。2月、3月は、故障で参加できなかった。今季、浦和ではシーズン途中からボランチとしてプレーして6得点を記録している。終盤、パワープレーが必要になったときにも頼りになる存在だ(日本代表メンバー)。
 守備に徹するオマーン、マスカットの酷暑、バンコクでは甘く見ることなどできないタイ。そして最後には、3月に苦杯を喫したバーレーンとのホームゲームが待ちかまえている。簡単な試合などひとつもない。しかしこの4試合を戦い抜き、4次予選への切符を手にすることができれば、「岡田ジャパン」の方向性も自ずと明らかになるだろう。

著者情報

サッカージャーナリスト

大住良之

おおすみ よしゆき

1951年生まれ。一橋大学卒。74年ベースボールマガジン社入社。78年「サッカーマガジン」編集長に就任。88年からフリーランスのサッカージャーナリストになる。著書に『サッカーの話をしよう1~6』、『新・サッカーへの招待』など多数。

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