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連載

幻聴さん買いませんか?

雨宮処凛(作家、活動家)

 一人、「パワハラ幻聴さん」と孤独な闘いを続けてきたCさんは、なんだかぽかんとした顔をしていた。「自分の助け方」を知る当事者研究は、「誰かを助けることができるスキル」を持つ当事者がたくさんいるのだ。いわば「生きづらさエキスパート」がそろっている。そんな人たちが、自分たちの持つ情報を困っている誰かに惜しみなく与える姿は、とてつもなく優しく、そして美しかった。
 この日の当事者研究は、3時間ほどで終わった。数時間の参加で、私の中の「正常」とか「異常」、そして「病気」と「病気じゃない人」の概念がガラガラと崩れていった。なぜなら、彼ら彼女らの悩みや苦労は普遍的で、私自身、幻聴こそないものの「ねばねば病」や「優等生誤作動」「比較誤作動」はいつも傍らにあるからだ。
 べてぶくろの当事者研究は、毎月第1土曜日に開催されている。生きづらさを感じた時、住宅街の路地奥にある一軒家の門をたたくと、たくさんの「生きやすさのヒント」に出合えるはずだ。

次回は9月3日(木)の予定です。

著者情報

作家、活動家

雨宮処凛

あまみや かりん

1975年、北海道生まれ。作家、活動家。反貧困ネットワーク世話人。バンギャル、右翼活動家を経て、2000年に自伝的エッセー『生き地獄天国』でデビュー。自身の経験から、若者の生きづらさについて著作を発表する傍ら、イラクや北朝鮮へ渡航を重ねる。その後、格差や貧困問題について取材、執筆、運動を続ける。『生きさせろ! 難民化する若者たち』でJCJ賞受賞。著書に『一億総貧困時代』『「女子」という呪い』など多数。

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