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連載

幻聴さん買いませんか?

雨宮処凛(作家、活動家)

 一人、「パワハラ幻聴さん」と孤独な闘いを続けてきたCさんは、なんだかぽかんとした顔をしていた。「自分の助け方」を知る当事者研究は、「誰かを助けることができるスキル」を持つ当事者がたくさんいるのだ。いわば「生きづらさエキスパート」がそろっている。そんな人たちが、自分たちの持つ情報を困っている誰かに惜しみなく与える姿は、とてつもなく優しく、そして美しかった。
 この日の当事者研究は、3時間ほどで終わった。数時間の参加で、私の中の「正常」とか「異常」、そして「病気」と「病気じゃない人」の概念がガラガラと崩れていった。なぜなら、彼ら彼女らの悩みや苦労は普遍的で、私自身、幻聴こそないものの「ねばねば病」や「優等生誤作動」「比較誤作動」はいつも傍らにあるからだ。
 べてぶくろの当事者研究は、毎月第1土曜日に開催されている。生きづらさを感じた時、住宅街の路地奥にある一軒家の門をたたくと、たくさんの「生きやすさのヒント」に出合えるはずだ。

次回は9月3日(木)の予定です。

著者情報

作家、活動家

雨宮処凛

あまみや かりん

1975年、北海道生まれ。反貧困ネットワーク世話人。バンギャ、フリーター、右翼活動家などを経て2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。2006年からは貧困問題に取り組み、『生きさせろ! 難民化する若者たち』(2007年、太田出版/ちくま文庫)は日本ジャーナリスト会議のJCJ賞を受賞。著書に『学校では教えてくれない生活保護』(‎河出書房新社、2023年)、『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書、2024年)など多数。

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