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政治・経済

特定秘密保護法は、日本のあり方を大きく変える

市民に押し付けられたアメリカの世界戦略

吉田徹(同志社大学教授)

 時の政府は自らが考える国益に基づいて統治に都合の良いように法律や制度を運用しようとするかもしれない。そうした短期的な判断を、事後的ではあっても、長期的かつ反省的に検証し、将来に活かすのかは主権者に課されている役割と義務である。こうした役割と義務を十全に果たせるような法律や制度を確保しておくことこそが、国の繁栄を約束する。そのような法律や制度がなければ、過去に何を間違い、同じような間違いを犯さないためには何をどのように反省すべきか、その反省を未来にどのように活かしていったらよいか、を考えることができなくなってしまうからだ。

 制度や法律のあり方だけでなく、その制度や法律をどう利用するかは、その国の政治家や主権者の感性によるところが大きい。今まで、閣議の議事録を作ることはおろか、NSCの議事録策定が焦点となっている日本のような国では、そもそも民主政治の土台作りから着手していかなければならないことを意味している。

 反省と検証の機会を奪われた政治は長続きしない。自らの国の歴史を振り返り、何をどこで、どのように、なぜ間違ったのかの検証を怠ることが、いかに大きな被害をもたらすのかを、日本人は2011年の原子力事故で学んだはずである。歴史家E・H・カーは、歴史とは、過去の事件と未来の諸目的との間の対話のことである、と述べた。そのような対話を禁じる法律は、やはり反民主的なのである。

著者情報

同志社大学教授

吉田徹

よしだ とおる

1975年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専門は比較政治学、ヨーロッパ政治。著書に『ミッテラン社会党の転換』(2008年、法政大学出版局)、『二大政党制批判論』(2009年、光文社新書)、『ポピュリズムを考える』(2011年、NHK出版)、『感情の政治学』(2014年、講談社)、『「野党」論』(2016年、ちくま新書)、『アフター・リベラル』(2020年、講談社現代新書)などがある。

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