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統一地方選2023で女性躍進! 新しく見えてきた希望ーー「男性政治」を変えるのか?

三浦まり(上智大学法学部教授)

 選挙ボランティアを広げる活動が出てきたことも、今回の統一地方選の特色だ。女性候補者が少ない背景に選挙ボランティアをする女性や子育て世代が少ないこともあると、若手女性たちが立ち上がり、ボランティアを呼びかけていた。Stand by Women代表の濵田真里さんはわかりやすい「選挙ボランティアのしおり」を作製、20代・30代の議員を増やす活動をしているFIFTYS PROJECT(代表:能條桃子)は候補者支援の一環として候補者ボランティアも募集した。
 こうした活動が積み上がることで、やがては新しい選挙文化が形成されていく。それはまだ主流を成しているとまではいえないものの、その萌芽がはっきりと見られたことが今回の統一地方選の大きな成果だ。4年後には市民の創造力と力はさらにパワーアップしているだろう。杉並だけではない、全国で「日本は止まらない、決めるのは私たち」、と行きたいではないか。

「男性政治」は変わるか?

 このように統一地方選は希望が持てる選挙結果を示したが、それでは「男性政治」は変わるのだろうか。もちろん、そんなに簡単に廃れるものではない。国政において候補者の選定の実権を握るのは政党であり、政党は男性政治の牙城である。これを打破するには莫大なエネルギーが必要だ。

 最大の議席数を持つ自民党に女性が少ないことが、国会全体の女性の少なさに直結している。自民党が変われるとしたら、それは危機感を持ったときである。実際、統一地方選においても危機感を持った地方組織は変化を見せた。国政においては、野党が女性をより積極的に擁立し、自民党に危機感を抱かせることができるならば、自民党も対応をせざるを得なくなる。 

 ここで鍵を握るのは立憲民主党だ。野党第一党であり、立民が女性擁立を牽引することが、政界全体の女性割合を引き上げるためには不可欠だ。統一地方選では維新の躍進が取り沙汰されたが、実際には市議選で立憲民主党は72増の269議席を獲得している(維新は108増の154議席)。立民には発信力のある女性議員も多い。もっとも、幹部に女性が少ないのが課題である。一部地域に見られた女性のパワーを立民が取り込み、ステップアップできるのか、それとも維新の陰に埋没感を深めるのか。今後の国政の趨勢を見るうえでも、「女性」は重要な要素である。

 中長期的に見れば、日本が男性政治から脱却していくには選挙制度改革は避けて通れない。候補者の多様性の観点から選挙制度を評価し見直す時期に来ている。具体的には小選挙区中心の制度を改める必要があるだろう。女性議員は定数が小さい選挙区ほど少なく、大きい選挙区ほど増える傾向にある。つまり小選挙区制度の下で女性議員を増やすことはとても難しい。定数だけではなく、クオータ制(割り当て制)導入や政党交付金の配分変更など、さまざまなやり方が考えられる。具体的な改革案については『さらば、男性政治』でも論じた。統一地方選の結果を踏まえ、さらなる議論が進むことを期待したい。

著者情報

上智大学法学部教授

三浦まり

みうら まり

1967年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。カリフォルニア大学バークレー校政治学博士課程修了。政治学博士。東京大学社会科学研究所研究機関研究員を経て、現職。専門は現代日本政治論、比較福祉国家論、ジェンダーと政治。主な著書に『さらば、男性政治』(2023年、岩波新書)、『政治って、面白い! 女性政治家24人が語る仕事のリアル』(23年、花伝社)、『私たちの声を議会へ――代表制民主主義の再生――』(15年、岩波現代全書)、『ジェンダー・クオータ――世界の女性議員はなぜ増えたのか』共著(14年、明石書店)、『日本の女性議員 どうすれば増えるのか』編著(16年、朝日選書)ほか。21年にフランス政府より国家功労勲章シュバリエ受賞。

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